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第22回WEBコラム「エコがカッコイイ時代?」

PCネットワークの管理・活用を考える会(大阪) WEBコラム

<著者略歴>
そのご苦労とノウハウ、笑い、叫び?を執筆された、「システム管理者の眠れない夜」連載をWindowsNTWorld誌(現在WindowsServerWorld)において1996年より開始。
現在も好評連載中であり、その人気から製本化・出版されております。
(株)クボタをご退社され、現在、大阪市立大学大学院 創造都市研究科 都市情報学専攻 博士(後期)課程にて日々研究に明け暮れる毎日。

はじめに

PCネットワークの管理活用を考える会/クライアント管理分科会、大阪座長の柳原です。

2007年度のクライアント管理分科会も無事に終了しました。7月には東京と大阪で2008年度の大会が行われた後、新年度の活動が始まります。 2008年度は「グリーンIT」をテーマにしています。さて、どのような成果が得られるでしょうか。 それは、分科会に参加される皆さんの肩に掛かっています。

エコがカッコイイ時代?

最近のテレビCMを見ていると、「エコであること」「自然を守ること」を強くアピールする商品が増えてきました。一言で「エコな商品」といっても、その目指す方向はいろいろです。

・商品を製造する際にエコなもの
・商品を動かす際にエコなもの
・廃棄後のリサイクルがエコなもの

パソコンのモニターは、既に液晶モニターが標準になってしまいました。 今頃、普通のブラウン管モニターを使っているのは、買い換える金もないほど貧乏なのか?と疑われてしまいます。 また、パソコンはデスクトップタイプよりもノートタイプが売れる時代です。 ハードディスクの消費電力が問題になり、メモリカードがHDDにとって代わるのも時間の問題になってきました。

一般家庭では、ゴミの分別ができないと、ご近所から非難されてる時代になりました。 近所のスーパーに買い物に出るときは、エコバッグを持参する人が増えてきました。

最近のアンケートでは、燃費の悪く一人で乗るには大きすぎる自動車などは「かっこわるい」というイメージを持たれるようになってきたそうです。 いつの間にやら、エネルギーを無駄に消費することが「ダサイ」時代になったのです。 「エコ」はナウい(これはもう死語ですね)トレンドになったというわけです。

ただ、皆さんも自分の胸に手を当てて考えてみてください。

おそらく、みなさんの自宅では、電気代のことを考えて、こまめに電気を消すかもしれません。 しかし、他人の見ていないところでは、どうでしょうか?飲食店やホテルではどうでしょう?トイレや部屋の電気はこまめに消しますか?

普通の人は、他人から見られているからこそ、エコな行動をとるのです。 「エコ」によるメリットは、直接的には個人や組織の費用削減です。 しかし、もっと大きなメリットは、その個人や組織に対する他者からの評価の向上でしょう。 カッコイイという行動は、やはり他人に見てもらわなければなりませんね。

すなわち「エコ」を進めるには、そ の行動が他人から見える形にするのがよさそうです。 ハイブリッド自動車に乗る理由は、もちろん燃料代の節約もあるでしょうが、エコな車に乗っているという「世間の評価」が重要なのです。

グリーンITも見えるようにしよう

筆者は、このことは「グリーンIT」にも適用できると思っています。 つまり、グリーンITを進めるには、その行動が他者(他社)にも見えるようにすべきだということです。たとえば、

・出張や休暇で、一日席にいないときには、ちゃんとPCの電源をオフにしていることが、しっかり周囲からわかるようにする。
・サーバ類が消費する電力(CPU、周辺機器、冷暖房)を、リアルタイムに表示する。
・プリンタは有料化し、できるだけ使用させない。部門別の印刷枚数を公表する。
・メタな対策としては、上記のようなアイデアをひねり出すための、エコ活動をテーマにした改善提案制度を運営する。
・エコな人を選ぶ投票制度を運営する。
・IT関係のエコ対策とその実績を、社外にも公開する。

このようなエコな行動は、今よりももっと「カッコイイ」行動と評価されるようになります。そうした評価を、社内でもどんどん行うべきだと思いますし、現場のエコなアイデアをどんどん汲み上げる仕組みを作っていかなければならないと考えます。

また、他人から見えないところのエコを進めるには、そのための仕組み(設備)が必要です。人(ユーザ)に意識させずに省電力化するような仕組みです。

・トイレや廊下の照明などは、人の出入りにしたがって自動点灯・自動消灯させる。
・サーバ類は仮想化ソフトウェアによって統合し、リソースの使用率を向上させる。これによってサーバ数が減り、電源や冷却装置を小規模化できる。
・可能なら、サーバそのものを使用しない。
・クライアントPC側に、できるだけ能力を持たせない(シンクライアント化)

サーバについては、リソースの配分調整がやりやすいシステム・・・すなわち仮想化やブレード化、そして大切なことは、そうしたシステムを容易に運用管理できるシステムが求められるでしょう。

エコを人に頼ってばかりではいられない

サーバ側のエコは、予算さえ許せば、比較的システマチックに進めることができそうです。ところが多数のクライアントPCについては、今のままではどうしても「人」に頼りがちです。全クライアントPCがネットワークで接続されている現在、そのままで良いとはとても思えません。

たとえば、多数のクライアントPCを抱える組織では、夜間は強制的にPCをサスペンドするといった手段も必要になるでしょう。もちろん長時間の計算中で、それができないPCもあるでしょうが、それはCPUの稼働状態や、ファイルやネットワークのI/Oなどの状態を確認すれば判別できるのではないでしょうか。技術的には今すぐに可能なはずです。

現場のシステム管理者の皆さんが、それぞれの抱えるシステム上で可能なエコなアイデアを持ち寄り、それを実行できる仕組み(システム)を着実に作っていくこと。それこそが、今、わたくしたちに求められているのだと思います。

エコを考えている皆さん、今年1年「PCネットワークの管理活用を考える会」へアイデアを持ち寄りませんか?

自己紹介

パーソナルコンピュータとの付き合いは1979年のNEC社製PC-8001から始まっています。
1985年から当時はオフコンと呼ばれていたIBM社のシステム36を使って、機械製造メーカでの社内用生産管理システムの構築に関わりました。言語はRPGでした。 1990年ごろから社内にパソコン通信やLANを導入してきました。この頃からネットワーク上でのコミュニケーションに関わっており、1993年以降はインターネットとWindows NTによる社内業務システムの開発、運用を行ってきました。
1996年からはインターネット上でのコミュニティであるNT-Committee2に参加し、全国各地で勉強会を開催しています。
http://www.hidebohz.com/Meeting/
1997年からはIDGジャパンのWindows NT World誌に「システム管理者の眠れない夜」というコラムの連載を始めました。連載は既に7年目に突入し、誌名は「Windows Server World」に変わっていますが、読者の皆さんに支えられて今でも毎月、締め切りに追われる日々が続いています。
連載から生まれたメーリングリストもあります。ご参加はこちら。お気軽にどうぞ。

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