コロナ禍のリモートワークを機に、働き方は変えていこう!

2020年8月25日

先月の7月30日にPCNWの2020年大会を初めてオンラインで開催した。

今年のテーマは「ポストコロナ、働き方は変わったか」ということで、最初にキャスターの中川社長に基調講演をしていただき、後半はリモートワークの課題と今後について、中川社長を交え、勉強会の座長の方々とのパネルディスカッションを行った。

キャスターはフルリモートでバックオフィスのBPOをしている会社だが、社員の皆さんの働き方には驚いた。

以前PCNWの勉強会でソニックガーデンの倉貫社長に話をしてもらった際、世界を旅行しながら仕事をしている社員のことを紹介してもらい驚いたのだが、キャスターの社員もそれに負けず劣らず、副業しながらワーケーションで働いている社員など、これまたびっくりだ。おそらく働き方においては最先端を行っている企業の一つだろう。

若い人たちはこういった自由な働き方に魅力を感じている。キャスターは求人広告を出さなくとも、フルリモートと謳うだけで人が集まるという。
若い人だけではなく、サラリーマンのおじさんたちだって、今回は通勤電車に乗らなくてよいリモートワークの快適さを身に染みて感じたのではないだろうか。

もう多くの人たちは満員電車に乗って、オフィスまで毎日通勤することは考えられないのではないか。
出張だって、TV会議を使えば、行き帰りの往復の移動時間はいらないわけで、時間が有効に使えるのは間違いない。

何のためにオフィスへ行くのか、会社の机に座っていなくとも仕事はできるし、これまで普通だと思っていた仕事のやり方にどれだけの無駄があったかを気づいたのではなかろうか。

コロナ禍で強制的にリモートワークを始めざるを得なかった多くの会社の課題はPCやインフラ、回線などのインフラ整備だった。ただそうしたインフラが整備されれば、次は、リモートワークでどれだけ生産性を上げられるかということを考えるはずだ。
そうすることで、時間ベースではなく成果ベースで管理できるような、人事・評価制度も含めて再構築する企業も増えるだろう。

こういった自律的な働き方が増えてくれば、これまで会社に依存した多くのサラリーマンに変化が訪れるのではなかろうか。自分にとっての仕事の意味などを考え直す人も増えてくるだろう。
それに呼応して、企業の理念を再構築して、新たなる時代へ向けて存在意義を見直す、そういった企業も増えるのではないだろうか。
何のために会社があるのか、その役割を根本的に見直し、お金儲けだけではなくて、社会に貢献しようとする会社が増えていくことだろう。

無駄なものがそぎ落とされたリモートワークの先には、そんなワクワクする世界が待ち受けているかもしれない。
それなのに、緊急事態宣言が解除された途端に、全員出社せよという号令がかかり、出社を余儀なくされたという会社も多いと聞く。せっかくリモートワークを皮切りに新たな働き方の可能性が垣間見えているのに、もったいないことだ。

このコロナ禍を機に、日本の企業の働き方が大きく変わり、社員がわくわくして働けて、仕事を通じて成長でき、社会にも貢献できるようになって欲しいと切に思う。

<お断り>
本稿の内容は著者の個人的見解であり、所属企業及びその業務と関係するものではありません。

寺嶋 一郎 PCNW幹事長
TERRANET 代表

1979年3月に東京大学工学部計数工学科卒業。その後積水化学工業に入社し制御や生産管理システム構築に従事。MIT留学を経て、(株)アイザックの設立に参画、人工知能を応用した積水化学の工業化住宅のシステム化に貢献する。
2000年6月に積水化学に戻り情報 システム部長として積水化学グループのシステム基盤の標準化やITガバナンスの改革に取り組む。2016年3月に退職し、現在、TERRANET代表。

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