2025年6月11日
2025年6月11日
「もしも、WEBサイトがシステムなら?」
(そんなん、当たり前だろう・・・ザワザワ)
「システム管理者の中で、業務としてWEBサーバの管理をしている人いますか?」
(WEBサイトは広報が・・・ザワザワ、うちはどこが管理していたっけ・・ザワザワ)
こんなやりとりや「ザワザワ」に覚えがある方はいらっしゃいませんか?
WEBサイトを置くサーバは、レンタルサーバやクラウドサービスだったり、それらも借主がデザイン会社だったり、社内に物理サーバがないのも今や当たり前になっています。コンテンツ管理を情報システムではなく、広報担当部門や各事業部門が担当しているケースもあるため、情シスから見ても「システム」だと実感しにくいこともありそうです。また、WEBサイトの構築も、レイアウト等、所謂ユーザーインターフェイスの部分を中心に検討を進められるケースが多々あり、サーバのスペックやOS、アプリケーション等に対する意識が、他の業務システムよりは希薄になりがちかもしれません。
そのようなWEBサイトとWEBサーバですが、実際は、この世のどこかにはハードウェアが存在し、物理サーバまたは仮想サーバにOS、WEBサーバ用のソフトウェアがインストールされています。そこに、記事等のコンテンツを管理するCMS(Contents Management System)をインストールし、記事の作成や管理に便利な方式をとるのが最近の流れといえます。CMSにはプラグインと呼ばれる機能追加プログラムがあり、プラグインを複数組み合わせて必要な機能を用意することもあります。
ここまでお気づきいただけたかと思いますが、WEBサイトを置いているWEBサーバもやはり「システム」であり、「運用・管理」が必要です。適切な「運用・管理」を行い、安全な状態を保つことは、WEBサイトのSEOの評価指標である「EEAT=Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)」のうちTrustworthinessに関わり、「評判の良い」WEBサイトであるためには大切なのです。
ここで、いつもなら「安全なWEBサイトの運用とは何か」という話になるのですが、今回は、情シスに縁がありそうで縁がなさそうな、それでも少しは縁がありそうなSEO(Search Engine Optimization≒検索エンジン最適化)について、紹介したいと思います。
SEOとは? SEOにも、いくつか種類があり、それぞれにアプローチの方法が異なります。
一般的に、キーワードの設定や、長すぎず短すぎない文章等のコンテンツの部分が、「WEBライティング」とも呼ばれて注目されますが、これらは「コンテンツSEO」と呼ばれるものの一種です(※分類、名称は諸説あります)。そして、検索エンジンに、WEBサイトの存在を認識させる方法、たとえば、被リンクを増やしたり、検索エンジン側にWEBサイトの情報を登録したりする「外部SEO」と呼ばれる方法もあります。
今回は、これら2種類ではなく、WEBサイトのコーディングや、ファイルの設定に直接関係するSEOである「テクニカルSEO」について、ピックアップいたします。テクニカルSEOの基本は「検索エンジン(のプログラム)が、WEBサイトを探しやすいように作りこむ」ことです。例を挙げると、
1.XMLサイトマップ(WEBサイトのサイトマップをXML形式で記述し、保存する)の設置
2.公開領域のフォルダを3階層以上にしない(あまりフォルダ階層を深くしないほうが良いのは、ファイルサーバにもいえますね)
3.ラインやロゴ以外の画像には、説明(=alt text)をつける
4.それぞれのページには、title要素(ブラウザでは見えないけれども、ソースコードを表示すると確認できる)を設定する
5.各ページに内容を120文字程度にまとめた説明(meta description=ブラウザでは見えないけれども、ソースコードを表示すると確認できる)を設定する
6.画像のファイルを大きくしすぎない
細かく挙げるときりがないほどの項目があるのですが、テクニカルSEOの内容を見ていると、「単にブラウザ経由でサイトを開くだけでは見えないところへの対策」が目立ちませんか? 人間の目で見ると、見映えの良い、目立つWEBサイトは画像がふんだんに用いられていたり、動画があったり・・・というイメージですが、検索エンジンは文字を対象にしているため、ブラウザ経由での見映えとは必ずしも一致しません。設定する箇所が利用者側からは通常は見えない部分であるものの、特定の方法で設定の有無がはっきり確認できるのも、管理コンソールでシステムの設定を確認するのに似ているかもしれません。やっぱり、これはシステムでは?
さて、ここで一つ、読者の皆様に問いかけたいのは、「WEBサイトの運用に、システム運用の視点が含まれているか」ということ。見かけを維持することだけを考えれば、あえてシステム運用と考えなくてもよいかもしれません。しかし、WEBサーバが突如ダウンすることもあり、使っているCMSに不具合が生じたり、脆弱性が見つかったりすることもあります。丹精込めて作ったサイトのページビューがどうも伸びないということもあるでしょう。当然ながら、外部に公開していれば、悪意のあるアクセスにもさらされます。
ブラウザ経由で見えるものだけではなく、WEBサイトを内側から見る目を持つこと、たとえばサーバの管理、コーディング、CMSの設定等もコンテンツと同じように注意を払う、つまり、システム運用の視点をあわせ持つことで、安全なWEBサイトの運用や、テクニカルSEOの中にも、情シスにできることが色々ありそうです。コンテンツ担当者と連携することで、情シスの活動に対しても周囲の理解が深まるかもしれません。
とはいえ、組織の壁、部署の壁、取引先との関係、思うようにいかないこともあるでしょう。しかし、これまでも組織を横断しつつ、全体に目を配りつつシステム管理を行ってきたのが情シスのはずです(多分)。組織のイメージづくりにも重要なWEBサイト、その運用で何か役に立てる場があれば、ぜひともスキルを活用していただければと思います。
書きそうで書かなかった安全なWEBサイトの運用については、1本のコラムにまとめるには内容が多岐にわたりすぎるので、いずれどこかでまとめられればと思いますが・・・ここで一つタネ明かし。2023年9月のコラム「ドメイン怪談、WHOISがマジにWHOIS?だった話」の中の第五のホラー、それは、謎のツールのパスワードが「全アカウント共通で、ローカルのアドミニストレータと同じ。しかも10年以上にわたって同じものだった」ことでした。
もしも、WEBサイトがシステムなら?
その答えは多分、「WEBサイトがシステムならば、オンプレミスやクラウド、各種開発、ローコードにノーコード、様々な分野で培った情シスのスキルを活かして担当部門と協力し、より安全で快適なWEBサイトを作るための力になれるでしょう。」と締めくくりたいと思います。
社会医療法人愛仁会 山田 夕子 |
「人見知りの勝手に情シス」から公認セキュリティ監査人補へ、激流に流されるがごとく突っ走り、「机上演習の中の人」を経て、現在は「できたてSIRTの中の人」。
災害用BCPをサイバー攻撃被害発生時に応用するメソッドの研究と机上演習のファシリテータがライフワーク。
趣味は楽器演奏と古代史など。夫が城と戦国時代を語ると長いのが悩み
〒102-0083
東京都千代田区麹町3-3-4 KDX麹町ビル(クオリティソフト株式会社内)
TEL:03-5275-6121 E-mail:bunkakai@pcnw.gr.jp
© PC・ネットワークの管理・活用を考える会