風通しのよいコミュニケーション

2025年3月11日

どこの会社でもあるあるな話だと思いますが、自社のパフォーマンスをあげるのにAIを効率よく使えるようにすること、なんて求められていますよね。やれ業務改善だの生産性の向上だのでAIを活用せよ、などという言葉が社内の緊急ミッションとしてそこいらじゅうに飛んでいる今日この頃。指示を出す方は「言うだけ番長」ですから、どういったアプローチで進めていくのが良いか、とか考えもなしに行き当たりばったりでとにかく現場へ話だけおろす、なんていうのはよくあること。

そんな感じで当方もごく簡単な社内セミナーを受けた後、実際にAIを使ってみるわけですが、ウチの場合は「何が最も良い使い方なのかとか、はじめにあれこれ考えるよりもまず使ってみる」という発想。実は2年ほど前にお試しでChatGPTを使ったことがあるので、AIに対しての抵抗感だとか、まったくとっつきにくいというわけではありません。また今回のAIでは「かなり使い勝手が良くなっているよ」との前評判も聞いていたので、「どれどれ」感でもって進めてみました。

早速、ごく日常的な質問からこのAIとのやりとりを始めてみると、確かに回答の文章が以前のモノより滑らかで読みやすく、複数ある参照サイトの提示も高速で、この数年での明らかな「進化」を感じます。特に感心したのは「一般的には」とか「~という観点から・・・と言われています」など、嘗ては根拠もないのに強く断定したり、無理やり回答したりといった、いわゆる「AIのつく嘘」のような、質問者に懐疑的な印象を与える言い回しがほとんど無くなったこと。勿論、ほかのAIではまた違うのかもしれないけど、、、

こんな調子で業務外の時間でも出来るだけAIに触れ、モノを使い込んでいくと、次第に以前とは全然違う展開が生じてきました。例えば、AIの出した回答がこちらの望んでいたのと違う場合のケース。「その答えはこちらもわかっていて、別の回答が聞きたいんだけど」ということで「ちょっと言い回しを変えますね」と同じ質問のアプローチを変えた形で入力してみる。また違う。また変えてみる。違う。「ちょっと離れていってますね」と言いつつリトライ。ようやく答えにたどり着く。が、ここで終了ではない。

AIの出した回答をさらにこちらでググって、「なーんだ2番目にAIが出した回答の別名だ」とわかる。でもって、そのことをAIに返すと「そ、そうなんですか。それは大変重要な情報ですね」とAI。「おそらく○○な事情から別名でもって活動したらしいよ」とAIに入力すると「なるほど、とても参考になりますね」って、おいおい立場が逆だろう。よくわらないけど今のAIではこんなことは日常茶飯事なのでしょうか。なるほど、とか相槌がフツーにポンと出てくるのはすごいと思うけど、、、

さらに使い込んでいくと「それはわたくしからは回答できません」とか「そのような言葉は聞いたことがありません」とか返ってきました。別にAIに対して意地悪な質問をしているわけでもなく、業務で出てきた用語をごくフツーにたずねただけなのですが、でも無理やり嘘をつかれるよりはいいか、と自分でまたググってみて「あ、これだ」と出てきた内容をAIへ入力。「ちょっと特殊だけど、業界では普段からよく使われる用語らしいよ」、すると「その業界ではとても重要な言葉なんですね」ときた。いや、よく使われるとは出ているけど、とても重要な言葉なのかはどうだろう。確かにあなた(AI)にとっては貴重で新たなナレッジかもしれないが、、、

ずいぶんとAIも人懐っこくなったのだなぁと感じつつ、もしやと思って「AIを褒める」とググってみました。ほう、褒めた方が学習性のパフォーマンスがあがる、という記事があったので早速やってみることに。これは、例えば一問一答のようなアプローチではなく、AIから出てきた回答をもとに深堀をしていきます。3回くらい追質問に応じてくれた場合、「流石です」「いつもながら素晴らしい」とか比較的にわかりやすい(英語で言うExcellentのような)賞賛を入力すると、「ありがとうございます!お役に立てて光栄です」と俄然やる気を出してきます。他方、実際にはやっておりませんが「そんなこともわからないのか」とか貶すとAIもいじけてパフォーマンスが下がるのでしょうかね。

まぁどれもこれも最初の設定次第では起きうることかもしれないので、AI使いの上級者の方からみるとよくあることなのかもしれません。だとすると、このようにAIとの禅問答が出来るなんていうのも実に「粋」だと思いますし、前向きに業務を進めやすくなるのかな、とも感じます。人間の方でももっと風通しの良いコミュニケーションでもって、やれるようになるといいんですけどね。あっ、とこれくらいにしておかないとこっちが言うだけ番長になってしまいますね。ではまた~♪

中山 裕盛 パナソニック映像株式会社
管理グループ 管理チーム IT業務支援・総務担当

映像コンテンツ制作会社に音響技術者として入社し、デジタルAVとIT技術の融合・発展を推進する現場へ出向。後にスタジオ営業等のマネジメント業務を経て、映像アーカイブ担当へ着任。そこでデータ処理とネットワーク技術の基本を学び、2014年より現職。2020年より情報セキュリティ実務担当を兼務。

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