情報を見極める力

2025年1月8日

あけましておめでとうございます。本年が皆さんにとって良き年になりますようにお祈りいたします!

米国大統領選に引き続き兵庫県知事選挙も大手メディアの報道とは異なる結果に驚かれた方も多いのではないでしょうか。

米国大統領選においては、米国の大手メディアはハリス支持一辺倒で、片やトランプは徹底的に悪く言い、選挙の予想も大接戦だと言っていました。でも蓋を開ければトランプの圧勝だったのです。そして、日本の兵庫県知事選挙も、大手メディアが斉藤知事の問題ばかりを取り上げたにもかかわらず、結果的には斎藤氏が勝ったわけです。

こうした二つの選挙は、メディアのあり方が変わる分水嶺になるのではないかと思うのです。これまでは大手メディアは圧倒的な大きな影響力を持っていて、選挙の勝敗の鍵を握っていました。

でも、もしそのメディアが、意図してある種の情報を報じなかったり、一方的な偏向報道をしていたらどうでしょう?

私は現役を退いてから、時間があるので、SNSを含めてネットから情報をとることが多いのですが、いろいろと調べるにつれ、大手メディアの報道のあり方に疑問を持ちました。

そして数年前からは、ネットやSNSにおいてもある種の言論は強制的に削除される統制が行なわれるようになったのです。イーロンマスク氏が買収する前のTwitterはその際たるものでした。当時の大統領であるトランプ氏のアカウントも削除したのですから。

日本のメディアは報道しませんが、マスク氏が買収した後にTwitter社内のドキュメントやメールを数名のジャーナリストに調べてもらい、一体何が起きていたかを報告させた「Twitter Files」という文書があります。Googleはまだ言論統制しているので、検索してもドキュメントの本体は検索されませんが、DuckDuckGOなどの別の検索エンジンを使えば、それらを英文で読むことができます。それによれば、国家権力が介入して言論統制をしていたことが書かれています。

マスク氏に関しては日本ではネガティブに報道されることも多いのですが、Twitterを買収して(今はX)、言論統制を全て撤廃しました。そして言論統制に関わっていた社員たちを首にしました。そうしたXの言論の自由が、今回の米国大統領選にも、また兵庫県知事選挙でも大きな役割を果たしました。言論の自由こそが民主主義を担保するというのがマスク氏の信念なのですが、私も人権侵害やポルノなどの規制はともかく、言論の内容を統制することを権力に許しては駄目だと思います。

もちろんXなどのSNSにおいては、言いたい放題のようなところもあり、情報の質は玉石混合です。だからこそ、私たちは多角的に情報を取りながら、その情報の真偽は自らの判断に委ねなければなりません。垂れ流される情報に流されるのではなく、冷静になって、いったい何が真実なのかを見極めていく力が必要になります。

こうした情報を見極める力は、仕事においても客観的な分析や判断を行う上でも不可欠と言えるでしょう。

ITの仕事においても、うまくいかないことをシステムのせいにされることもよくありますし、つい声の大きい人たちの話を聞いてしまいそうになりますが、真実は何なのかを、冷静かつ客観的に見極める必要があります。

今年は、情報を見極める力をしっかりと身につけて、今後のIT部門の発展に尽力していただきたいと思います。

寺嶋 一郎 PCNW幹事長
TERRANET 代表

1979年3月に東京大学工学部計数工学科卒業。その後積水化学工業に入社し制御や生産管理システム構築に従事。MIT留学を経て、(株)アイザックの設立に参画、人工知能を応用した積水化学の工業化住宅のシステム化に貢献する。
2000年6月に積水化学に戻り情報 システム部長として積水化学グループのシステム基盤の標準化やITガバナンスの改革に取り組む。2016年3月に退職し、現在、TERRANET代表。

© PC・ネットワークの管理・活用を考える会