「情報システム部門」へようこそ!~後編~

2024年6月10日

6月です。今月も引続き暑くなりそうです。異常気象がもはや日常化していますね。
3月決算の会社では、第1四半期(1Q)の最終月に入った、といった感じではないでしょうか。
世情が落ち着かない中で、どの職場もキッチリとそれなりに結果だけは出していかなければなりませんから、それこそひと苦労ですよね。

ところでみなさん、先月の続きですが「人の役に立つ情シス」やってますか?
「意識はしているけど忙しすぎて、どう実行しようかまで考えている余裕がない」とか「ウチの職場はそれ以前の問題が山積していてどうしようもない」など色々あるかもしれませんが、ここはひとまず落ち着いて、慌てず、焦らず、自分のやれるところから軌道修正していきましょうよ。

例えば、会社で役に立つ情シスとは何も人間に限ったことではありません。
新たに導入したシステムだってそう。クラウドであれオンプレであれ、人に合わせて入れたはずなのに、なぜかシステムに合わせて仕事してませんか。
「1Qはほとんどヘルプデスクばっかり」なんて言うのツラいですよね。勿論、文字通り情シスとしては「ものすごく役に立っている」わけですが、、、

そうそう、自分事ですが今年3月に10何年振りかで確定申告をいたしました。
どうせやるならと「e-tax」を使ったオンラインでの挑戦です。出来上がった書類(PDF)をまじまじと見てみると、忖度抜きで「あ、(税務署にしては)結構しっかりしたものに仕上がるんだな」と感心いたしました。
まぁ、普段からお使いの方とかは「いや、こんなもんですよ」と思うのかもしれませんが。

ただ書類の出来上がりはよいのですが、一般的なSaaSとしては実に使いづらく、画面操作よりも流れを理解するのにかなりの時間を要しました。でもって、入力を進めていくうちに、ところどころ意味が分からなくなったり、次の作業へ移るつじつまが合わなくなったりすると、「ご不明な点がございましたら、もよりの税務署へおたずねください」と各自治体の税務署の所在地を検索するページへとうながされる。

勿論「ここで悩んで時間を使うくらいだったら税務署で訊くか」でもいいんですけど、それだったら手続きそのものを最初から税務署で行えばよいわけで、安易に、すぐ税務署へ、というのもどうなのかと思います。これなら確かに、サードパーティのオンライン確定申告のサイトが「令和の代書屋」のごとく流行っている、というのもうなずけます。時間にとらわれずに利用できるのが「オンライン」ですからね。

ま、とにかく自分も情シスの端くれで、職場では先陣を切って「ペーパーレス推進」とか言っているのに、ここで諦めるわけにはいかない。「最後までWebで行くぞ」と幾度も気合を入れ直してみるものの、ところどころ「紙の提出でもOK」の誘惑に流されそうになるわけです。操作を進めていくうちに、このe-taxのやりにくさ、進まなさには、①なんちゃってSSO、②サイトの不統一、③スマホ連携の3つにあるのでは、と感付きました。

お役所の部門は縦割り、とはよく言われますが、システムも縦割りだった、ということでしょうか。それがサイトの不統一感によく出来ていると思いました。とにかく「読みにくい」のです。説明書きのリンク(=おそらく別の部署が担当)に飛ぶとPC用サイトのため字が小さくて、ALLスマホで入力していた申告者の心を折ります。そしてリンク先のシステムはSSO連携をスマホの「マイナポータル」アプリに頼っているため、ページ移動のたびに、都度「スマホでカードを読み取ってください」の操作が、不慣れなIT弱者の心を折るのです。

そんなことを振返りつつ「人の役に立つ情シス」とは何かをあらためて考えてみると、実は職場での現状の不都合さへの「慣れ」が一番の障壁だったりします。「慣れ」は改革を妨げます。あなたの職場でも普段の業務フローで無意味な2度手間、3度手間はありませんか。勿論、ダブルチェックなどのリスクヘッジを省いてはいけません。情報セキュリティ対策も同様です。意味のあるあえて必要な手間を言っているわけではありません。ただ、もしあなたが、他の社員から「何かわからないことがあったら訊けばいい」だけの情シス担当になっているとしたら、それもまた非常に大きな障壁と言えるかもしれませんぞ。ではまた~♪

中山 裕盛 パナソニック映像株式会社
管理グループ 管理チーム IT業務支援・総務担当

映像コンテンツ制作会社に音響技術者として入社し、デジタルAVとIT技術の融合・発展を推進する現場へ着任。
その後、スタジオ営業等のコーディネーター業務や映像アーカイブ業務を経て、2014年より現職。

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