会社により貢献できるIT部門を目指して

2024年4月1日

PCNWの事務局は、クオリティソフト株式会社のサポートにより運営されています。その社長の浦さんが「アドレスフリーという働き方」という本を出されました。

その中にPCNWの話も載っています。PCNWはもともとクオリティソフトが販売していたKeyServerというソフトのユーザー会として発足したのですが、その使命が終わった時に、せっかく悩みを抱えたIT部門で悪戦苦闘している人たちが集まっているのに解散するのはもったいないということで「PC・ネットワークの管理・活用を考える会」と改名し、クオリティソフト以外のユーザーも参加できるオープンな会にして継続したのです。

クオリティソフトはPCNWの事務局の運営だけではなく、開催する勉強会やイベントはすべて無料で開催しています。なのでクオリティソフトにとってPCNWの運営は持ち出しなのです。それでも浦社長は、利害関係を超えて本音を語れる人が集まる場を作ることに意義があるという考えでPCNWをもう二十五年以上も続けています。

浦社長曰く「最初からお金を求めたら人は集まりません。お金は後から付いてくるのです」という考えのもと、多くの人に集まってもらい世の中に役にたつことができれば、巡り巡ってクオリティソフトのビジネスチャンスが広がるという考えのもとPCNWを運営しているのです。

松下幸之助も、水道の蛇口を捻ったら水が出てくるように、低価格で高品質な製品を社会に大量に供給しようという思いのもと会社を起こし、結果としてパナソニックは発展しました。目先の利益ではなく、社会の役に立とうという思いで行う経営が、結果として利益を産むのではないでしょうか。

IT部門(情シス)のあり方も同じだと思うのです。目先のユーザー部門の評価などより、いかにビジネスの役に立てるのか、どれだけ会社に貢献できるのかという観点でIT部門も運営すべきだと思うのです。

前回のPCNWの勉強会は、情シスの「スキル不足」にどう向き合うかという「リスキリング」がテーマだったのですが、エンジニアリング・スキルというより、ビジネス・スキルやソフトスキル、もっといえば人間としての生き方に関しての議論になりました。目先の新たなスキルを獲得するということも大事ですが、どういったIT部門を目指すのかという、しっかりとしたビジョンを持ち、それが達成できるための知識やスキルを得ながら、前へ進んでいくマインドセットを作ることのほうが、長い目で見て、会社により価値を提供できるIT部門になるのではないかという結論に至ったのです。

まだまだIT部門は、単なる便利屋としか見られていなくて、経営から評価も低いことが多いのが実情です。そんなIT部門の地位を高めなければ、会社が戦略的にITやデジタルを活用できるようにはならないと思うのです。例えばマーケティングやブランディングの知識を得て、自らの仕事の成果を可視化すれば、経営トップにIT部門の価値を認めてもらえるかもしれません。経営を味方につけることで初めて、ビジネス部門と協力して会社の発展に寄与することができるのではないでしょうか。

新たな年度を迎えるにあたり、PCNWに集う皆さんも、より輝けるIT部門になれるよう、大いなる志を抱き頑張っていただきたいと思います。

心より応援しています!

寺嶋 一郎 PCNW幹事長
TERRANET 代表

1979年3月に東京大学工学部計数工学科卒業。その後積水化学工業に入社し制御や生産管理システム構築に従事。MIT留学を経て、(株)アイザックの設立に参画、人工知能を応用した積水化学の工業化住宅のシステム化に貢献する。
2000年6月に積水化学に戻り情報 システム部長として積水化学グループのシステム基盤の標準化やITガバナンスの改革に取り組む。2016年3月に退職し、現在、TERRANET代表。

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