モノ言う・・じゃなくてモノ書く情シス?

2024年2月15日

この情シスのHonne! のコラムは、PCNWの座長・運営委員の持ち回り方式で、その月の担当者が寄稿することになっており、各回のテーマは担当者が自由に選択し、テーマに合わせたスタイルで筆を進めます。そのため、当然ながら文体もバラバラ、「話題のアレにモノ申す!」的なシビアな論説もあれば、「実録!情シスは見た!」風のレポート、話題の事件をめぐる覆面対談、謎の奮闘記、日常生活のひとこま等々も。運営委員も当然、毎月のコラムを読んで、自分の担当回を書いているのですが、よくもまあ、こうも色々出てくるものだと驚かされます。

ところで、一時期よく、「モノ言う●●」という表現が流行り、情シスの中にも「モノ言う情シス」の看板を掲げた方もあったような・・・。その言いようを真似るならば、PCNWのコラムは「モノ言う・・・ではなく、モノ書く情シス」っぷりを発揮する場ともいえます。そこで、今回は、「コラム」についての「コラム」(それ、なんやねん)で、「モノ書く」情シスについて考えてみました。

読者の皆様も、業種や立場に応じて、書類やプレゼンテーション、研修用の教材と色々なものを書く機会はあるでしょう。あるいは書籍を執筆された方もいらっしゃるかもしれません。IT以外の分野でも文才を発揮する方もあるでしょう。私も、元々文章を書くのが好きだったのもあり、各所に文章を寄せることがあります。加入している学会での年次大会での抄録、講師をつとめた際の振り返り等、予めフォーマットがある文章とこのコラムのような形式の定まらない文章との割合は半々ぐらいで、月1本は何かを書いている気がします。とはいえ、すらすら書けるタイプではないので、だいたい、下のような要領で毎回、書き進めることになります。

たとえば、PCNWのコラムの場合・・・・・。
1.締め切り時期とタイトルがいつの間にか決まる(自分で決めないこともある)
2.コラムの中で取り上げる「事件・事案・トピック」を選ぶ(こちらが先のこともある)
3.文体を決める、分析調、語り口調、現場リポート風どれにしようかな・・・
4.寝かせる(そこそこ本気で情報収集はする)
5.寝かせ続ける(本当に寝かせておく、少々現実逃避もする)
6.書く(この時点ではそれなりに焦っている)

これでだいたい、10日間です。筆が速いか遅いかは正直、分かりません(いや、速くはない)。そもそも、締め切りまで余裕があるわ~という状態でお引き受けるすることはあまりないので、とりかかる時点で既に速いの遅いの言えない状況になっているともいえます。

そして、実際に準備をしながら何を考えているか
一番力を入れるのは、上の2,4のプロセスです。特に2が決まれば、8割終わった気になります。そして、5で「寝かせ続ける」のは、新しいトピックの場合は、新たに情報が追加される可能性もあるため、それを待っているともいえます。特に、サイバー攻撃やセキュリティのトピックの場合は、続報はできる限り漏らさないようにしているつもりです。それでも、書きあげてから掲載までのわずかな期間でさえ、新たな情報が公開されて、少々焦ることも・・・・・。

あとは、一気に書きあげるのもあり、一文一文はあまり長くできません。一つの段落も約200~250文字になることが多いようです。文体は、話題になるのがどうしても堅いもの、険しい出来事になるため、コラムに限っては、語り口調に近いものを意識しています。強調したいところは同じ語尾で畳みかけますが、そうでない場合は少しずつ変えるようにします。でも、変えたからといって洒落た文章にはなりませんが・・・・。

文体よりも注意を払うのは、できるだけ特定の立場や組織を責めるような文章にしないこと。特にセキュリティ事故に関する内容のときは慎重になります。当事者や類似の事件の経験者には、文章や記事を読むことが、フラッシュバックや精神的な疲労につながりかねないことも、忘れてはいけません。事故に関する文章は、書いている側も当事者の心情を想像して、やり切れない時があるのも正直なところです。だから、せめて締めくくりには希望が残るような、当事者を支えるような言葉を添えたいと思います。それは匿名のコラムでも変わりません。カジュアルな文章であっても、画面の向こうにいる人に寄せる気持ちは忘れないように心がけています。

その、カジュアルな文章を書くようになったのは、PCNWのコラムがきっかけでした。普段あまり書かないスタイルの文章を書くことは、技術用語をそうでない言葉に言い換えたり、不用意な外来語の使い方に注意を払ったりする良い機会にもなりました(でも、洒落た文章になりませんが)。

自分にアウトプットするだけのものがあるか? ふとそう思うこともありますが、実際はアウトプットとインプットは循環するものかもしれません。勉強会やコミュニティ活動での疑問や気づきをアウトプットにつなげるには、曖昧なままの知識を整理し、参考になる情報をまた集めることになります。そして、アウトプットした後でのコメントや意見交換、感想から新しいインプットにつながることもあります。

アウトプットに技術的な上質さを求めることはもちろん大事ですが、時には、新たなインプットにつなげることをあえて意識した、萌芽的なアウトプットであってもいいのでは?情シスの在り方が様々に変化するこの頃だからこそ、緩くモノ書く情シスもいいかな~と思いながら、あえて「コラムを書く」ということについてのコラムを書いてみました。

さて・・・次のコラムはどなたの番でしょうか?

社会医療法人愛仁会 山田 夕子

「人見知りの勝手に情シス」から公認セキュリティ監査人補へ、激流に流されるがごとく突っ走り、「机上演習の中の人」を経て、現在は「できたてSIRTの中の人」。
災害用BCPをサイバー攻撃被害発生時に応用するメソッドの研究と机上演習のファシリテータがライフワーク。
趣味は楽器演奏と古代史など。夫が城と戦国時代を語ると長いのが悩み

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