情シスにおける副業について

2023年11月21日

世間では『副業』や『複業』が盛んです。『副業』とは、本業以外の仕事をして収入を得ることをいいます。また、もう1つ同じ読み方で、『複業』があります。こちらは複数の職業に従事している状態を言います。2つの厳密な違いは、他のサイトに任せるとして、簡単に言えば、『副業』はメインとサブ、いわゆる本業があって、ついでの仕事みたいなイメージで、『複業』は3種類の職業があれば、全部メイン、という感じです。

自分の本業は情報システム(以降情シス)であり、それを生業としていますが、副業として別会社の情シスもやっていました。メインとサブが両方とも情シスという状態です。

このメインとサブというのは、収入だったりかける時間だったりで、明確に区分けされていきます。当然、メインを大事にするわけです。このコラム内では副業として記載していきます。しかし、情シス×情シスという状態は結構な修羅場になります。つまり問題点があるわけです。それを今回は見ていきます。


●厄介事は単純計算で2倍以上
サブタイトル通りの内容です。情シスは1つの会社の中でも様々な困難に遭遇します。モノが多ければ多いほど、その率は上がります。そして、その環境がもう1つ単純に増えるのです。もしかしたら、その副業先の会社は幸いにもそういった厄介事がない会社かもしれません。とそんな甘いわけはありません。そういう状況であるならば、世の中に情シス等という職種は存在しないのです。情シスとしての仕事を依頼したいということは、それなりに厄介なことが存在するということです。

●タイムマネジメントが大変
複数の会社で情シスをする、ということと似ている環境が、いわゆるSES・下請け等で複数の会社や現場で情シスをする、ということがあります。単純に業務という面でいえば大きな違いはないので、SESでやっている人からすると「そんなもの楽勝じゃ」と思われるかもしれません。自分もSESの会社に入ってやるなら、おそらくそこまで大変とは思わないでしょう。では、何に差があるか、ということになります。その大きなものが時間です。

SESで働いている場合、2つの現場があったとしても、ある現場を優先しないといけないとなった場合、営業が動いてある一定程度、負担が緩和されるわけです。片方の現場を離れるとか別の作業員を派遣するとか、調整が入ります。しかし、それが己でやるとなった瞬間、メインもサブという区分けはあるものの、どちらかをないがしろにするということが基本出来なくなるので、メイン1本でやる以上にリスク管理をしながら、時間管理をする必要が出てきます。

また、情シスの場合、リモートで業務を遂行するということが、不可能な場合がほとんどです。幸いにもメインはあらかた整備されていて、会社としてもほぼリモート勤務形態なので、サブとして情シスをすることも可能でした。しかし、サブの仕事内容が、端末整備や社内ネットワーク環境の整備等で、出社が必須でした。その為、サブの会社への移動時間さえも可能なかぎり稼働しなければ、メインの会社では無稼働となってしまい、夜遅くまで稼働しなければいけないということにもなります。複数の意味で、時間に追われる日々となります。(裁量労働制をしいている会社であれば、この面は気にしなくても良い場合があります)

●両方でトラブルが発生した場合・・・・
もうここまで話をすると分かると思うのですが、このタイトル通り、仮に両方でトラブルが発生した場合は、当人は両方に動くことは不可能です。影分身の術が出来るのはアニメの世界だけです。セキュリティー事故でなくても、例えば、社内のネットワークが落ちた、等のトラブルでも両方から、「早く復旧してほしい」と言われるわけです。まあ、片方は別の人に指示を与えながらやってもらう、みたいなことも場合によっては出来なくはないでしょうが、社内に自分しかいないようなパターンは「無理ぽよ」となるでしょう。


では、情シスとしてやっている人が、情シスと似たようなことで、またはそれらの経験を使いながら、副業する場合は何が良いのかということです。前提条件として、その副業が「リモートで対応可能である」ということが必須です。出社となっただけで相当ハードルが上がります。開発系の方がフリーランスとして、自宅で複数の仕事が可能なのは、まずその前提があるからです。いくら開発の仕事といっても、A社はデータセンターで、B社はどこぞの本社で、C社は自宅で開発作業となると、誰もやらないでしょう。

ですので、原則、副業で情シス的なことが出来るとしたら、コンサルティングや非対面でのサポートということになってきます。これは非常に楽ちんです。自分も情シスや情報セキュリティとしての知見をもとに、そういうことをやっていました。単純に文字を打つ環境、Web会議が出来る環境があれば良いので。

後は当然、情シスとは全く異なることで商売にしても良いかと思います。自分にはそういうものはないですが、情シスやITにこだわる必要性もないかと思います。しかし、その場合でも精神的、肉体的な負担が少ない形でやれるものが良いと個人的には思いますので、「命大事」をモットーに励むことを推奨します。

PCNW運営委員より寄稿

大手ITベンダー等でITインフラ設計・構築・保守・運用等を幅広く経験後、「ぼっち情シス」や「セキュリティエンジニア」として、PCトラブルから情報セキュリティ監査対応まで幅広く担当。
現在は、「ぼっち情シス」として活動中。

© PC・ネットワークの管理・活用を考える会