一括りにされるインフラエンジニア

2023年5月10日

●ITやDXでスキルと言えば・・・
最近、メディアでITやDX(以降、ITと表現する)でスキルをつける、勉強する、そういう話題になった時に出るのがプログラミングを学ぼう、というような話がほとんどである。リスキリングと言えば、プログラミング、というぐらいその言葉自体は世の中に非常に浸透していると思う。

その為か、いやおそらくそうなのであろうが、ITという話になった時にそれに関わる職業となると、もはやプログラマーしか出てこない。AI技術を扱える人、データサイエンティストなるものもあるが、それぐらいあれば、そもそもITに接して来なかった人には十分であろう。昔はシステムエンジニアなんて言ったものだが、それすらも通用しない可能性はある。ITはプログラミングで成り立っている、もしくは、ITに必要な人材はプログラミングだ、ぐらいに多くの人は思っているだろうと、普段仕事をしていて実感する。(さすがにIT業界やそこに従事している人はそうではないとは思う)

●インフラエンジニアはそれ以外
唯一と言っても過言ではないかもしれないが、一般の人が知っているであろう言葉が「インフラエンジニア」だ。つまり、プログラムが動く基盤みたいなもの、それに関するスキルを持った人が「インフラエンジニア」だと、そういう認識でいる。事実、そうなのだろうと思う。極論すれば、プログラマー以外が「インフラエンジニア」、もしくは、ITの職はその2つしかない、そんなことすら思っているかもしれない。世間一般的に、ITやリスキリングの話になった時に、「インフラエンジニア」が話題になることはほとんどない。よって、「インフラエンジニア」が何なのか、知っている人はほぼいない。

一般向けの動画の解説等では、サーバー機器等の運用や保守をする人、そして、それは手順書に基づいてやるような作業で・・・・良い印象を与えるようなものは少ない。

●インフラエンジニアといっても色々ある
自分が社内向けにITとしてどういう職種やロール(役割)みたいなものがあるのか説明する際に、自分でもどれぐらいあるのか、資料を作り可視化したら、20〜30種類は出てきた。
例えば、「インフラエンジニア」といった場合でも、ネットワークが専門の「ネットワークエンジニア」、データを保存するストレージが専門の「ストレージエンジニア」、サーバー機器が専門の「サーバーエンジニア」、これでも相当大きな分類だが、3種類は存在する。

「ネットワークエンジニア」はLAN、WANでも求められる技術は全く異なるし、そこにセキュリティが絡んできた場合は、また異なる。単なるルーティングを担当するのと、不正通信防御を担当するのとでは扱う製品も異なることが多い。

上でロールと表現したが、ネットワークエンジニアを束ねて全体の作業を進捗管理するプロジェクトマネージャー(PM)も当然存在する。職種としてのPMも存在するが、技術者としてPMの役割をすることも当然ある。他のエンジニアでも同じである。

●他に色んな役割があるITの世界
エンジニアという括りで例をあげたが、ITサービス管理を担当する役割、サイバーセキュリティや情報セキュリティを担当する役割、ITを企画する、ITを提案する等等、ITの職種やロールは世間一般が思っているよりは多く存在する。

家やビル等の建物を作ることは、ITでシステムを作ることに似ている。基礎工事もなければ、骨組みもなければ、家は建たない。内装業者だけでは家は立たない。しかし、世間一般で、話されているITは、主に内装の話だけである。IT界隈に従事する者として、少しでもそういった認識を改めていけるように活動していきたいものである。

PCNW運営委員より寄稿

大手ITベンダー等でITインフラ設計・構築・保守・運用等を幅広く経験後、「ぼっち情シス」や「セキュリティエンジニア」として、PCトラブルから情報セキュリティ監査対応まで幅広く担当。
現在は、「ぼっち情シス」として活動中。

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