2022年1月17日
2022年1月17日
明けましておめでとうございます。今年こそ、パンデミックを終わらせる年にしたいですね。
さて、昨年末に山口周氏の講演で面白いことを聞いた。今回のコロナ禍のリモートワークによって、会社と社員の関係が大きく変化しつつあるというのだ。
リモートワークでは、社員が本当に仕事をしているかどうかがわからなくなった。
これまでは、7.5時間はオフィスに出勤させ、会社に縛り付けておくことができたのだが、それができなくなったのだ。つまり、社員は仕事をしているふりをして別なことができるようになったわけである。
これは、ある意味、社員が会社を騙すことができるようになったわけで、おまけに副業が解禁ともなれば、会社はこれまでのように社員を管理することができなくなり、社員のほうが会社より優位にたてる時代になったというのだ。特に能力のある社員はそうである。
年末にコロナの感染者が減った際に、リモートワークからオフィス出勤を強制した会社もあると聞く。今後、コロナ以前に戻ろうとする会社も増えて来るだろうが、片や、これからもリモートワークの良いところは取り入れ、働き方を本質的に変えていこうとする会社もある。おそらく、今後は旧態依然とした会社と、新たな働き方を模索しようとする会社の両極に分かれていくだろう。
もちろん、イノベーションやチームの一体化を醸成するためのリアルな場は必要ではあるが、一旦リモートワークの快適さを実感した社員は、もう元には戻れない。通勤や移動に何時間も費やした時間を有効活用でき、家庭生活との両立もできるのだから。
それなのに、「毎日会社に出社せよ!」と命令されれば、優秀な社員ほど、そんな会社には見切りをつけるのではないだろうか。魅力のない会社は、優秀な社員から辞めていき、彼らはもっと働きやすく魅力のある会社に移っていくだろう。
特に、リモートワークに適しているIT関係の人材はそうなる可能性が大きい。
ということは、魅力のある会社にしないと、貴重なDX人材と呼ばれるエンジニアが、どんどん会社を辞めてしまうということである。そうなってしまえば、会社は衰退するばかりだ。
これからの時代に大切なことは、社員が働きたくなる会社にすることだ。
楽しくて、わくわくして働くことのできる環境を作れば、仕事の生産性や創造力も高くなることが学術的にも証明されており、一石二鳥なのだ。
そして、もちろん給与もそうだが、リモートワークなどの働く環境だけに留まらず、働く意義、仕事の面白さなどの魅力も、会社が社員を引き留める大きな要素になってくるはずだ。
それは、このところよく言われるwell-beingな職場ということであろう。特にIT部門はこれまで3kに留まらず24kとか48kとか言われたように、働く環境が劣悪で、働きたくない職場の代表格だった。これからは、働きやすく、楽しく仕事ができ、みんなが幸せになるような環境に変えて欲しいと思う。
DXで会社をリードしていくIT部門こそが、魅力溢れる職場を作り、自らが見本となることで、全社を変えるきっかけにして欲しいものだ。
<お断り>
本稿の内容は著者の個人的見解であり、所属企業及びその業務と関係するものではありません。
寺嶋 一郎 | PCNW幹事長 TERRANET 代表 |
1979年3月に東京大学工学部計数工学科卒業。その後積水化学工業に入社し制御や生産管理システム構築に従事。MIT留学を経て、(株)アイザックの設立に参画、人工知能を応用した積水化学の工業化住宅のシステム化に貢献する。
2000年6月に積水化学に戻り情報 システム部長として積水化学グループのシステム基盤の標準化やITガバナンスの改革に取り組む。2016年3月に退職し、現在、TERRANET代表。
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