越境のすすめ

2021年7月20日

7/2に行われたPCNW大会2021では、コロナ禍がなかなか収束しない中ではあるが、IT部門にもっと元気になっていただきたいということで、テーマを「皆で元気になろう ~今こそ考える情シスのモチベーション~」で、沢渡、朝比奈の両氏と私でパネルを行わせていただいた。

少しでも元気になれるためのヒントになったとすれば、幸いである。

今回の議論の中でも何度か言及されたのが「越境」の大切さということである。これからの企業のイノベーションやDXを考える上で非常に大事なことだと思う。

イノベーションがおきるためには、新しい知の組み合わせが必要になる。既存知と既存知の新しい組み合わせこそがイノベーションである。


「越境」をキーテーマに対談

そうした既存知の組み合わせは、同じ組織では起こりにくく、異なる組織や、普段付き合わない人との出会いにより生まれる可能性が大きい。そうした異なる組織、そして人をつなぐためには、自らの組織から、あるいは担当領域から出て行き越境する人たちが出てこなければならない。

ストラクチャー・ホールと呼ばれるソーシャル・ネットワークの理論に、異なる組織と組織のハブとなりうる人の重要性が述べられている。そうした人はブローカーと呼ばれるそうだが、異なるプレイヤーをつなぎ、企業全体を変えることができる人たちである。
そうした部門と部門、組織と組織、企業と企業、地域と地域などの「境界を超える」越境人材こそが、これからのDXやイノベーションに必要になってくる。

そして、今の日本企業において、こうした越境人材が輩出できるのは、部門横断で仕事をやっている本社部門で、その中でもIT部門が最も適任なのだ。

DXでビジネスを変えようとするならば、IT部門のメンバーがビジネスを理解するために、自らビジネスの領域に越境して踏み込んでいかなければならない。IT部門からビジネス部門への越境なしにはDXは実現できないはずだ。

これからの時代は、イノベーションをおこし新たなビジネスをやろうとすればITは必須である。

デジタル化の流れの中で、ITという武器を持ち、全社のビジネスや業務を俯瞰して見ることができるIT部門が、越境をして他部門や、そしてITベンダーでもいいが会社外の組織や人たちとコラボをすることが、会社を変えていくことにつながる。

私たちは、将来を予測できずに何がおきるかわからないVUCAの時代を生きている。今の日本企業に必要なのは時代の変化に合わせて素早く変化できることである。
そのためにイノベーションやDXをやるわけだ。これまでは、なんとかなってきたビジネスや会社の組織・制度を変えていくのは、確かに大変ではある。そして大きなエネルギーも必要だ。だからといって今のままでいることは、滅びに至るわけで許されないのだ。

それなら、頑張って良い方向へ変えていこうではないか。みんなが幸せになり、わくわくして仕事ができる会社へ変えていくのだ。勇気を持ち、越境をしながら、IT部門が先導して会社を変えていくことを大いに期待したい。

<お断り>
本稿の内容は著者の個人的見解であり、所属企業及びその業務と関係するものではありません。

寺嶋 一郎 PCNW幹事長
TERRANET 代表

1979年3月に東京大学工学部計数工学科卒業。その後積水化学工業に入社し制御や生産管理システム構築に従事。MIT留学を経て、(株)アイザックの設立に参画、人工知能を応用した積水化学の工業化住宅のシステム化に貢献する。
2000年6月に積水化学に戻り情報 システム部長として積水化学グループのシステム基盤の標準化やITガバナンスの改革に取り組む。2016年3月に退職し、現在、TERRANET代表。

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