年頭にDXについて思うこと

2021年1月4日

皆さん、明けましておめでとうございます。さて、今年はどんな年になるのでしょうか。皆さまにとって本年が希望に繋がる年になることを祈念致します。

今年のIT分野においてのキーワードは当然DXであろう。コロナ禍で世の中はデジタルで繋がることが主でリアルで会ったり、買い物したりすることが従となる「アフタデジタル」の世界に足を踏み入れつつある。

近い将来こうなるだろうという世界が、コロナによりもう今来てしまったのだ。だから、将来に備えてDXを推進するのではなく、則DXを実行しなければならないはずなのだ。


大臣室にて、左端が筆者

コロナ以前にも言われていたDXへの取り組みが、もはや待ったなしの状態なのである。さらに、昨年スタートした菅政権の目玉政策のひとつに、デジタル改革が掲げられたこともそれに拍車をかけている。

実は、昨年の終わりに平井・デジタル改革担当大臣と面談する機会があった。面談では、デジタル庁で必要な人材とその育成の話とともに、まずはIT導入のすべてのフェーズでグローバルでスタンダードになっているやり方を学んで、デジタル庁のIT標準を作るべきではないかという話をさせていただいた。
一番遅れているとも思われる行政こそが、グローバル標準に沿った開発を進めることで成果を出し、民間のモデルとなるベストプラクティスを見せてくれないものかと夢想している。

さて、DXとは企業そのものの組織・制度、そして社員のマインドセットを、デジタル技術を前提にして丸ごと変えていくことだと筆者は考えている。企業全体が丸ごと変わることで、その結果、ビジネスをデジタル化することもできるわけだ。
そのためには、変化にアジャイルに対応できる企業に変わらなければならない。そして常に新たなるデジタルビジネスやイノベーションを生み出し続けていかなければならない。今、利益を生んでいる既存の事業を深化させていくとともに、方や新規事業も探索しなければならない。
この深化と探索の仕事は、互いに異質で、企業の中に二つの文化を両立させていく難しいかじ取りが要求されるのだ。

そして一番大事なことは、DXを推進した暁に、どういう会社になりたいのかというビジョンを描くことだ。DXは一律のものではなく、各社個々のものである。そのためにも、自社の存在意義は何なのか、それは、顧客であり社会に果たして求められているものかをきちんと再考することが大事だ。
ちなみにトヨタ自動車のトヨタフィロソフィーでは、トヨタのミッションを「幸せの量産」と定義している。モノの量産ではなく、人の幸せの増産だと言ってるのだ。これからの時代、ビジネスが社会に貢献し、人々を幸せにするものでなければ、その継続は難しくなるだろう。わくわくする会社の存在意義と自らがこうありたいと願うビジョンこそが、DX推進のためにも必要なことであると筆者を強く思う。

そうやって企業を丸ごと変えていくことに成功する企業が数多く出て欲しい。社会に貢献する、愛溢れた会社がどんどん出てきて、当たり前のようにデジタル技術を活用しながら人を幸せにするビジネスが数多く出てくれば、DXという言葉はもう用済みとなる。そんな年になることを祈念したい。

<お断り>
本稿の内容は著者の個人的見解であり、所属企業及びその業務と関係するものではありません。

寺嶋 一郎 PCNW幹事長
TERRANET 代表

1979年3月に東京大学工学部計数工学科卒業。その後積水化学工業に入社し制御や生産管理システム構築に従事。MIT留学を経て、(株)アイザックの設立に参画、人工知能を応用した積水化学の工業化住宅のシステム化に貢献する。
2000年6月に積水化学に戻り情報 システム部長として積水化学グループのシステム基盤の標準化やITガバナンスの改革に取り組む。2016年3月に退職し、現在、TERRANET代表。

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