学ぶことの大切さ

2019年1月10日

新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

さて新年の初めに本コラムの読者にお伝えしたいことは、学ぶことの大切さだ。

昨年、世界のITエンジニアを対象とした調査の話を聞いた際、印象的だったのが、世界で一番学んでないのが日本のエンジニアだということである。

日本のエンジニアは多忙で学べないという。驚くことに、長時間労働に関しては、日本はアジアや中国にも負けているらしい。家に帰ってきても疲れてバタンキューでは勉強する時間がとれない。働き方改革で長時間労働は減りつつはあるのだろうが、西欧に比べ圧倒的に自分の自由になる時間がないのが日本のサラリーマンだという。学ぼうと思っても、時間がとれないのだ。

そして外国に比べ、日本の会社は自社の社員を学ばせようとしないという。日本の会社は社員を大事にすると思っていたが、学ばせるということに関しては、日本が外国に負けているという。うそかと思うかもしれないが、欧米の会社のほうが日本よりエンジニアのスキルや知識のレベルアップに熱心らしい。ITが大事だという認識が強いためなのかもしれない。

さらに、日本のサラリーマンは自腹で有料のセミナーに行くことも少ないという。自分を伸ばすためハングリー精神が少ないと言える。中国や韓国のほうが自腹で勉強することが多いらしい。おそらくは終身雇用の日本の環境がそういうメンタリティを作っているのだろう。スキルアップなどしなくとも、首になることはないからだ。新たなスキルをつけ、能力を磨き、より良いポジションへと転職する文化がある国では、自分に投資することに貪欲なのだ。

ということで、日本はITエンジニアが「学べない」、「学ばせない」、「学ばない」という三重苦に襲われていると言える。ITエンジニアのスキルや能力が向上しないことには、日本企業はグローバルで戦えない。新たな技術が次々に出てくるITの世界で、学びは必須である。

これからは日本においても、人の評価が「どういった組織に属しているか」から「個人としてどういった価値を提供できるか」に大きく変わっていくだろう。会社も10年、20年後に存続しているか保証はなく、ずっと1社に勤め続けるということもますます少なくなるのは間違いない。

だからこそ、日本のITエンジニアには勉強をして欲しいし、自分に投資して欲しい。ITの上流から下流まで、さらにはAI、IoT、データ分析、学ぶべきことは山ほどある。これからのデジタル時代、優秀なエンジニアが必要とされる日本。日本のITエンジニアよ、貪欲に学んでほしい!

<お断り>
本稿の内容は著者の個人的見解であり、所属企業及びその業務と関係するものではありません。

寺嶋 一郎 PCNW幹事長
TERRANET 代表

1979年3月に東京大学工学部計数工学科卒業。その後積水化学工業に入社し制御や生産管理システム構築に従事。MIT留学を経て、(株)アイザックの設立に参画、人工知能を応用した積水化学の工業化住宅のシステム化に貢献する。2000年6月に積水化学に戻り情報 システム部長として積水化学グループのシステム基盤の標準化やITガバナンスの改革に取り組む。2016年3月に退職し、現在、TERRANET代表。

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