ツマラナイ仕事

2019年11月20日

私の仕事は多岐にわたります。先週はプロジェクターのケーブルが断線し、会議室が紫色になってしまったので、急遽天井裏の配線工事を行いました。他にも、複合機の紙詰まり対応や、テレビアンテナの調整などは、当たり前のように私のところに流れてくるのです。

「頼られる情シス」でありたいと、意識を高く仕事に取り組んではいるものの、非IT系の仕事の占める割合が高まるばかりで困惑しております。私の主な担当は、「インフラ管理」になるのですが、先日もITではないインフラの仕事が舞い込んできました。

弊社はゴム製品を製造しております。工場兼社宅だった建物を本社として利用しております。1・2階が生産工場で、3・4階は旧社宅エリアを事務所と会議室にリフォームしました。床や壁は新しいので、普段は築年数を気にすることはありませんが、問題はその裏側に潜んでいました。

排水が詰まるのです。洗面所やトイレの排水が詰まってしまうのです。築年数が30年を超えているので、配管のいたるところで動脈硬化が発生しているのです。初期症状であればラバーカップを駆使して解消を試みます。

弊社はゴム製品を扱っているとはいえ、ラバーカップの扱いは素人ですので、重症の場合はプロの水道屋さんにお願いするしかありません。そんな対応をした後は、疲労と敗北感でモチベーションはダダ下がりですが、それと同時に怒りに近い感情が芽生えてきますので、それを燃料にして再発防止策を考えたりしています。

そもそも、排水管の詰まりには原因があるのです。この原因を解決しない限り、仕事は終わりません。建物は賃貸なので配管設備を交換することはできません。発生源となっている洗面所やトイレを撤去できれば「元から断つ」こともできるのですが、事務所衛生基準規則の第17条を守らないとコンプライアンス違反になってしまいます。

であれば、原因を取り除くことは無理なので、予防処置でリスクを軽減するしかありません。定期的に薬剤を使用したり、利用者に詰まらせないよう運用上の注意を掲示して周知したり…と、一向に原因は解決しませんが、詰まる頻度は減らすことができました。詰まりを解消する仕事は『ツマラナイ仕事』ですが、「詰まらないようにすることを考える」というのは、やってみると『ツマラナクナイ仕事』でした。

さて、長くなりましたがここまでが前置きで、本題に移りたいと思います。

詰まり解消の『ツマラナイ仕事』を教訓とし、ITインフラ管理の仕事にも活かそうと思いました。問題は流れが詰まってしまうこと、それは利用者が困ってしまうということ。ITインフラも非ITインフラも、対利用者という点で考えれば、同じアプローチで解決できると思うのです。

例えば、社内LANでネットワーク障害が発生した場合、ケーブルや機器は断線・故障していないか?接続は抜けていないか?ループしていないか?障害が発生してしまった後は、ひとつひとつ可能性を潰していくしかありません。それは、ラバーカップでカポカポしているのと変わりません。排除すべき『ツマラナイ仕事』です。

ネットワーク障害を減らすには、普段から適切な機器メンテナンスを行い、機器は寿命を迎える前に更新し、ケーブルは抜けないように爪を確認、HUBのポートが空いていればループ防止のため封印しておくなど、リスクを軽減するための予防処置があると思います。

ここでイジワルな質問。そのようなメンテナンスを仕事だと思っていませんか?
リスク軽減のために運用化された予防処置を行い、想定外の事象にはブツブツ文句を言いながら対処する。結局、それだって『ツマラナイ仕事』だと思うのです。原因を潰しきれていないのですから、いつかは問題が発生してしまうのです。

ITに衛生基準規則は適用されません。リスクが残ってしまうのなら、全て撤去してしまえば良いのです。社内LANなんか無くても、代替ソリューションは日々公開されているでしょう。それを知ろうとせず、盲目的に過去と同じ運用を繰り返すのは、とても『ツマラナイ仕事』だと思います。

今後どんなに技術が進歩しても、一定の『ツマラナイ仕事』は残ると思います。しかし、情シスが活躍するフィールドでは、貪欲に知識を求め、柔軟に考え方を変え、使う道具を適切に選ぶことができれば、詰まる原因を排除することが出来るはずです。

極端に言えば、ITの『ツマラナイ仕事』を排除することが情シスの最終目標と言えるよう、私は活動しているのかもしれません。『ツマラナイ仕事』を『ツマラナクナイ仕事』で浄化することに、使命感を燃やしているのです。

少しでも多くの方に『ツマラナイ仕事』の撲滅活動にご賛同いただきたいと考えておりますが、ITの仕事が減ると、その分、非IT系の仕事が増える傾向にあります。ITの仕事がお好きな方にはお勧めできないのが残念です。

<お断り>
本稿の内容は著者の個人的見解であり、所属企業及びその業務と関係するものではありません。

森 厚 積水ポリマテック株式会社
総務人事部 ITインフラ担当

制御系ソフト開発会社に入社し、主に鉄道関係の制御ソフト開発にSE・PGとして従事する。
2004年からは車載機器メーカーに出向し通信制御のソフト開発に携わるが、出向先の業務縮小のため2013年に帰任。
社内では情シスとしてセキュリティとインフラを担当。現在は総務人事部に席を置き、社内IT教育やグループウェア等の導入はじめとした、ITを用いた業務効率化を担う。

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