「ひとり情シス」は介護に似てる!?
みんなに知ってほしいこと

2019年10月16日

一人で社内のITインフラやネットワーク、ヘルプデスク等を担当する立場のことを「ひとり情シス」と呼ぶことがある。

主に従業者100前後の企業で、「ひとり情シス」は存在することが多い。企業の中では、さらに総務や人事等と兼務する、「ひとり未満情シス」も存在するが、ここではそれらも含めて「ひとり情シス」と表現することとする。

自分も「ひとり情シス」経験者であるが、「ひとり情シス」に感覚的に近い職業がある。それは「介護職」である。
何故、そう思えるか、介護される側が存在するからである。そうユーザーである。

ただ「介護職」のそれとはやや異なる。年齢や病気、それは本人の意思や努力では、もはや、どうしようもないところからくるものである。そういうやむ無い事情があるからこそ「介護職」は必要である。しかし、

公益財団法人 介護労働安定センター:平成30年度「介護労働実態調査」の結果
http://www.kaigo-center.or.jp/report/2019_chousa_01.html
を見ると、「介護職」の離職率は15~16%ほどある。

厚生労働省:平成30年雇用動向調査結果
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/19-2/index.html
からみると、その数字は上位に位置しており離職しやすい職業であると考えられる。

「ひとり情シス」はどうであろうか。そこに特化した正確な離職率など、おそらく存在はしないが、興味深い記事はある。以下の記事を参照すると、転職率という表現ではあるが、「ひとり情シス」のそれは30%ともある。

ZDNet Japan:ひとり情シスの3割が転職--優秀な人材は転職市場で「引く手あまた」
https://japan.zdnet.com/article/35133588/

一概に比較は出来ないことは当然としても、ここまで突出して高いのは、何故であろうか?
あくまで個人的な見解ではあるが、色んな事情がある中で、介護される側の事情が大きいのではないかと考える。

「ひとり情シス」が世話するユーザーは、介護職のそれとは全く異なる点が1つある。
それは、個人の努力でなんとかなる点、である。しかし、多くは努力もせず、まさにインフラ、水道のように蛇口をひねれば水が出ることを期待し、当然のように思うのであろう。

使命感としては、「ひとり情シス」の方々は、まさにそういう感じで業務にあたっている。
しかし、その水を出す為に、「ひとり情シス」がどれほど色んなものを犠牲にしたり苦労したりし、業務に臨んでいるかを、多くの企業はよく考えたほうがいい。
その1つの結果として出た数字が、30%という数字だと個人的に考えている。

「ひとり情シス」がいなくなった後、どういう未来が待っているか、それは介護が必要な高齢者のまわりに、介護する者がいなくなるということと同義であるが、そういう想像力すらもない企業が多いのであろう。

上記の「介護労働実態調査」にある『労働条件・仕事に関する悩みの上位項目』は、(一部項目を読み替えれば)「ひとり情シス」にも当てはめることだ。
その上で、個人的には、「ひとり情シス」が離れない為には、以下が必要と考えている。

・1人でさせない
スキルの継承、モチベーション維持、健康管理、休暇の取得、様々な観点から1人で良い点は全くない。
「1人で出来る=1人で良い」ではない。

・待遇の改善
技術/非技術、どちらの面でもマルチスキルでないと務まらない。貴重な人財だと考えてほしい。

・従業者に感謝/リスペクトする
これは「ひとり情シス」に関わらず。出来て当たり前ではない。最低限の敬意はもってほしい。

「介護職」ほどメディアで取り上げられることはないが、同じよう境遇であろう「ひとり情シス」の現状の一部を知っていただきたく執筆させてもらった。
「ひとり情シス」の環境が良くなることを切に祈るばかりである。

<お断り>
本稿の内容は著者の個人的見解であり、所属企業及びその業務と関係するものではありません。

PCNW運営委員より寄稿

大手ITベンダー等でITインフラ設計・構築・保守・運用等を幅広く経験後、「ひとり情シス」として、PCトラブルから情報セキュリティ監査対応まで幅広く担当。
現在はセキュリティエンジニアとして活動。

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