PCネットワークの管理・活用を考える会 2002

PCネットワークの管理・活用を考える会 2002 in 東京 パネルディスカッション
宮腰: このパネルディスカッションでは、資産の一元管理をどのようにすべきかを事例を交えてディスカッションしていく。

PCネットワークの管理・活用を考える会で、私はIT資産・ソフト管理分科会の座長をやっており、各社のIT資産、ソフト管理がどうあるべきかを議論してきた。「どうあるべきかという結論」は出せないと思うが、皆さんの会社で一元管理をする際のなんらかのヒントはお持ち帰り頂ければと思う。
まずは、各社5分程度で、各社の特徴やIT資産の特徴について発表する。
宮腰:
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株式会社リコーはOA機器メーカー。コピー、ファックス、カメラ、DVDなど。
従業員が2002年3月で12,000名程度。グループ全体では74,000名程度。
所属するIT/S本部は情報システムとしてリコーおよびグループ会社の中で技術的なサポートをするという部門。自分自身は2年ほど前からネットワークが中心。
リコーでIT資産管理が始まった背景は、1995年に始まったNotes導入。ひとり1台のPC環境でのソフト管理に、クオリティ社のKeyServerを使い始めた。
現在、管理しているPCはリコー本体で14,600台。Notesの「PC管理台帳DB」で管理している。PC用途の9割はIT用途、これらはほぼ管理できている。研究開発用途や販売用途については通常の用途管理ができないので、これらをどうやって管理するかが現在の課題。
柿崎:
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HOYA株式会社は業種が精密機械メーカー。エレクトロテクス製品、メガネ、コンタクト、クリスタル、サービスなど。従業員が2002年3月で3,100名程度、グループ全体で13,000名程度。
昨年末まで一部カンパニー制度を採用していたが、組織変更により自部署のミッション範囲が増え、全範囲においてのシステム開発と業務システム運用管理以外のIT関連業務、すなわちネットワーク、LAN/WAN、セキュリティ、PC資産管理などをみている。自分自身は半年前まである部門の部門管理者だったので、その部門もみている。
国内15,000台、うちネットワークに接続されているものは1,500台。それ以外に工場の製造装置、スタンドアロンPCなどどこまで見るべきなのかが議論になっている。PC用途は、IT用、特定業務端末、CAD/設計、制御、監視など。
善家:
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プロミス株式会社、業種は消費者金融業。昭和37年設立。無担保貸付を行っている。2002年3月で、店舗数457店、自動契約店舗1,053店、自社ATM 1,808台。従業員は3,979名。
担当業務は分散システム管理、具体的にはクライアントPCおよびサーバ管理、資産管理、ネットワーク管理、ATM自動契約機の運用。グループ全体のPC台数は7,552台で、QNDを利用。PC用途は営業・本社、債券管理は専用端末を利用。自動契約受付は自動契約機と接続されている独自端末、販促は今年からはじめた「ナビゲータ」で、お客様と社員のコミュニケーションを図るためのツールとしてシステムを組んで専用PCを利用。
QNDではインベントリ情報を収集し、それをSASというプログラムで「構成管理システム」を独自でつくり運用している。
山司:
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ソニーマーケティング株式会社は、1997年ソニー株式会社の国内営業部門と関連会社を合併して設立され、ソニーブランド商品のマーケティング・セールスを統括する会社。いわゆるメーカーの販売部門は、メーカーが作った製品をそのまま販売ルートに流す営業活動をやってきた。1997年度にソニーマーケティングを設立する際、マーケティングから商品を作り出すような「マーケティング機能をセールスの中核においた会社にしよう」と行動規範にある。
現在は社員数4,600名。開設当初はソニーマーケティングと関連会社を併せて4,000台。現在は従業員4600名で6,500台。2,000台以上のPCが増えたのは、セールス1人1台PCを貸与して、E-workplaceで仕事するようになったため。PCそのものがセールスの業務、インターネット上がオフィスで、社内的にはそれをサポートするホームページを立ち上げて、セールスはそこから情報を引き出すというE-workplaceを計画した。
ソニーでは設立趣意書にも「自由闊達で愉快なる工場を目指す」とあり、資産管理を含めたインフラ担当者は、個人の持つ能力を発揮できるような環境、個々人の力量を発揮できるような環境を作ろうというのが業務のポリシー。
宮腰: 各社の背景等を理解してもらったうえで、これからは、参加者の事前アンケートの結果を見ながら、メンバーで意見交換をしたい。
宮腰:
●アンケート結果<Q14 PCの導入形態はどれですか>

4年ほど前の「PCネットワークの管理・活用を考える会」でも議論。当時はパソコンの導入はリース・レンタルのどちらがよいかという議論があった。昨今はリース・レンタルの垣根もなくなってきている。1年のレンタルでもリースと値段が変わらないものもある。リースも1年〜4年まで短いものがある。各社の現状によって違う。
山司: セールスひとりに1台PCを貸与。自社商品のVAIOで、本来なら固定資産と考えた。PCのライフサイクルを考えたときに2〜3年か、金勘定をして、固定資産かレンタルか考えた。固定資産も当時の償却期間は5年だった。PCのライフサイクルにあわせる管理がよいと判断し、レンタルで調達した。現在はパソコン減税などもあり、固定資産化している。これはIS部門の判断ではなく、経営レベルの判断。
善家: 大量導入(何100台単位)はリース、期間は4年。今後はどうするか迷っている。
柿崎: 各工場や事務所が予算をもっており、一括購入していない。リース・レンタル・買取が混在。PCの価格が安くなってきているので、経理からは買取にしてほしいといわれている。メーカーなのでPCが「生産設備」ではなく「ツール」と思われており、上からは「なぜ買い換えるのか」と言われる。Notesなどもバージョンを据え置いたままなので、余計にPC買い替えの理由が伝わらない。その反面、ブラウザやアンチウイルスソフトは頻繁に更新する必要があるので、新機種のPCがよいという声もある。
宮腰: 1995年当初は部門で勝手に購入。3年前からIT/S本部の社内レンタル制度があり、リコー関連リース会社とモデルPCを決めている。ユーザはNotesで申請から支払いまですべて一元化されるシステムがある。
この7月に3年レンタルが切れて、次のサイクルに入る。
PCをレンタルにした理由は、固定資産が20万円未満なので少額固定資産。資産になると捨てるにも稟議書が必要であること。PCは3年利用したら使い物にならないことが多く、3年レンタルにして、一元的管理で数を把握したかった。これでメデタシのはずが、現在の社会情勢等で、「レンタル期間を延ばせないか」といわれており、困っている。
レンタルの場合、レンタル会社が「ゆりかごから墓場まで」ひきとって廃棄まで面倒をみてくれる。弊社はリースや運送会社と一緒にシステムを企画して、イレースから廃棄までをシステム化している。
みなさん、PCの廃棄については?
山司: 契約しているのは関連会社のソニーファイナンス、リースは満了なしでの解約はしない。満了時に規定の処理に基づいて返却し廃棄する。レンタルはデータをきちんと消す。データ漏洩の問題、セキュリティでの問題。あるソフトを使って、完全に消したことを確認しIS部門に報告をもらって返却する仕組み。レンタル会社で、どのようなチェックをしているかを見せてもらって、それで大丈夫だと判断。
宮腰:
●アンケート結果<Q15 棚卸しの照合は>

23%が不明、47%は人手ということで固定資産で経理部がやっている、30%はもっとしっかり管理しようとしている。
柿崎: 棚卸しは固定資産中心。少額資産、研究費で購入しているものは正確な棚卸ができていないのではないか。 廃棄、リースレンタル、買取の基準を作っている。
善家: 必ず棚卸しをすると無いものがある。システム部門が少人数なので、これを追いかけていくのは困難。それを解決するためにツールを購入した。QNDで各拠点の端末を設置するときに資産番号資産番号も入力してもらい、インベントリとして収集し、棚卸しをしたときに情報をつき合わせている。
宮腰:
●アンケート結果<Q3 ソフトウェア管理>

約5割が管理しているという結果。ライセンスを管理して、インストール状況に付き合わせるのはかなり大変だが。このあたりも各社の状況を。
山司: ソフトウェアは各部門の統括者が管理し、購入からライセンス管理まで部門で管理。ただ「ソフトウェア管理は何のためにするか」が曖昧である。当初は「違法コピーをしてはいけない」ということがポイントだったので、その流れで各部門責任者が管理することになっている。「棚卸しすること」と「ソフトウェアを管理する」との関係を意味付けしたうえでやらせないと大変。
違法コピーの問題だけからすれば、ソフトウェアの配布・購入の仕方が一番問題。ビジネスに必要な基本ソフトウェアはIS部門が一括して管理している。基本ソフトウェア以外のものは、自由闊達な社風もあり、あまり強制したくない。全部をあるグループが管理するのは厳しい。各グループがP/L責任をもっているところが管理をしている。
善家: 基本的に業務が端末の種類に限定されているので、標準のソフトウェア以外は導入禁止。その業務が何かをインストールして壊れた場合「各拠点の責任」ということでCDドライブの利用を禁止している。
宮腰:
●アンケート結果<Q13 コスト把握>

経営者からみるとコストを把握したい、IS部門からみるとユーザに使って欲しい。
62%がコスト把握している、22%ぐらいは把握ができていない。把握もIS部門が予算を全部もっているところとそうではないところとがあり、さまざま。
山司: 棚卸しをなぜやるかというと、PCにかかるコストをしっかり把握したいから。コストについては受益者負担、業務についてはまとめてやることによって工数削減を図りたい。
善家: 各部で購入しているが、今期から選定の際もIT推進部を通すことになっている。現在は実質、完全なコスト把握はできていない。先ほどの管理対象PCについてはほぼできている。
柿崎: 部門単位の予算なので、トータルのコストはすぐには出てこないが、情報システム部が関わるものなどは、コストは受益者負担で、付け替えをしている。
ただ、リストラ、海外展開、組織変更が頻繁になっているので、どこの費用で負担するのかが問題になる。部門間の異動など。
宮腰: Notesをはじめたときに、各部門1台利用で月額いくらと決めて、NotesライセンスやPCハードの保守費用、KeyServerを使ってのソフトウェアの同時使用などを付け替え。会社の仕事として必要なソフトウェアは一括購入。ハードもレンタルなので一元でみれる。
研究開発部門・販売促進用ハードについては、レンタルの中にないので、NotesのDBから特別部門申請であげてもらい、ダイレクトに把握。届け出てもらうことで管理している。部門独自で使うソフトはお金の管理は8割から9割ぐらい。

全コストを把握するには「購入コスト」と「管理コスト」を把握する必要があるが、「管理コスト」は把握できているか?
柿崎: 管理コストは、管理できていない。
善家: 管理コストは非常に問題あり。構成管理をQNDを利用してやっているが、端末の展開等々の作業で、現時点では管理コストがかかりすぎているのが問題。今期中に削減するよう、個人的にも集中して解決したい。
山司: 「管理コスト」は広いが、どのあたりの管理のことか?
宮腰: コストを把握すること、管理すること、それ自体にコストがかかる。「〜のはずです」という代わりに、「違法コピーはされていません」「今日現在の会社の台数はXX台です」等を正確にやろうとしたときの情報収集のためのコスト。
山司: 「それはIS部門の仕事でしょ」といわれる。全国ネットで営業を展開しているので、営業マンには細かいところまでやらせるなといわれている。業務集約という観点から、本来は別の仕事を持っている人が、各拠点の情報推進担当者となり、彼らを通じて、棚卸しなど把握はやっている。本来の仕事ではなく、どちらかというと片手間の仕事、結構大変なのに、業務評価があがるわけではなく、できればやりたくない、という意味ではコストはかかっている。PCをうまくつかう環境を維持していくためには、しかたがない。それ以上のことはIS部門で考えてほしい。
宮腰:
●アンケート結果<Q12 システム部門の権限>

つらいシステム部門で、どこまでの管理があるかだが、「企業によってばらつきがある」という回答になる。しっかりシステム部門が予算の権限まで待っているところから、提案はできるが何もできないところもある。
柿崎: 権限は場所によってかなり違う。以前所属してた部署は、ネットワークを構築したこともあり、強権発動ができる。他の工場ではネットワーク担当者が立場が弱いというところもある、これを全体に平均化して底上げするのが今の私の仕事。やり方は、ポリシーをつくる、さまざまな規定を整備するなど、基本となるルールを作ること。立場が弱いところにいくと「どんな権限があってこんなことしているのか」といわれる、そのあたりを整備しながら権限を上げていきたい。
宮腰: 昨年のIT資産・ソフト管理分科会で、リコーは「アメとムチ政策」をとっていると発言。部門特別申請という道が残っており、拡大解釈すると、どんどん部門で好きなPCが買える。ただ、道から外れると不便になるしくみ。会社で使うソフトは予算を一括で購入しているが、MSオフィス、エキスパート、エミュレータ、Acrobat、Visioなど便利なツールは自動的にインストールできるようになっている。これをするにはPCを登録する必要がある。会社にもってきたら登録しないと、ソフトが簡単にインストールできない。登録するほうは常に取りたい情報を入れてもらうようにする。中には嘘をつこうとする人もいるが、レンタル制度が安く運用できていれば、それを利用する人は多い。
いかにユーザに便利な制度をつくって「利用すれば便利」と理解させて利用させ、管理をして一括購入によりトップからある程度の予算を認められているという政策。
山司: 権限があるかないかより、責任を果たしているかが権限につながってくる。情報システム部門が管理できる範囲が限られている、ガバナンス機能がいかに発揮できるか、そのためにはトータルの予算枠、コストが本当に活きたコストなのかをIT部門が検証し、その中でPCというのはこんな使い方をするんだよというガイドラインを提示、基本は自己責任。ネットワーク社会のキーワードは自己責任。部門ごとのP/L責任をもちなさい。売ってナンボの会社なので、そのコストを下げるためにどうすべきかがITガバナンス機能となる。そのためには、ソフトはこれを使ってください、PCはこれを使ってください、と提案すること。皆さん同様、業務としてはこのPCモデルを利用してください、ソフトを一括して購入して下さいといっているが、それを権限と呼ぶのか私は分からない。
善家: プロミスではシステム部門は総じて弱い、営業部門が力を持っており、営業の戦略に応じてシステム部門が右往左往している。方向性が決まって、ハードウェアや端末を何台どこに入れるか何がいいのか考えなさいという具合。
社内ネットワークの権限はIT推進部門が持っており、ネットワークに接続するしないを決める。ただ、政策で必要だということばがあれば太刀打ちできないというプロミスの文化がある。システム部門としては変えていきたい。
宮腰: 先ほど、「CD-ROMは利用禁止」といわれたので、システム部の権限があると思っていた。
善家: あれは営業部門の支店に配布した際の話。大量PC導入時に、運用でこうしようと強引に決めただけ。当時は今ほど家庭にPCが入っていなくて、インストールするという行為も知らなかった。このまま続くかどうかは難しい。
宮腰: テーマの「ITの一元管理はどうしたら可能になるか」について。

<資料 リコー1>

リコーの事例。一元管理の定義は、情報システム部門がIT資産を今どこに何台あるということがすぐに一目でわかるということ。以下は現在のリコーの状況をまとめたもの。グリーンがIT用途、ブルーが研究開発・製造用途、ピンクが販売促進用途。研究開発用は情報システム部門の選定はどうでもよく、ドライバや機器の相性にうるさい。販売用途は新製品がでたらそれを貸し出さなければならない。
しかし、会社からみるとすべてIT資産管理となる。

次は今後どうするかという案。

<資料 リコー2>

この案では、ルールを作れば、現状のルールにモディファイするとPCについてはなんとか管理できそうだといえる。これはPCだが、今後個々で管理しているソフトウェアの調達はどうするか、PC以外のMOドライブやデジカメはどうするか、そこまで管理するのかについては、はっきりした答は出ていない。PCは90%以上管理可能。リコーではデジタルコピーなどネットワークOA機器は社内調達できるので、一元的管理を考えなければならない。QC活動にもあるようにまずは大きなところから手を打っていきたい。
柿崎: 半年前にある部門の管理をしていたときは、マイクロソフトのSMSと、クオリティのQNDでPCやネットワークの管理をやっていた。全体を見渡す部門に異動して、数量把握など部門毎のムラがあることがわかった。全体の総量や種類といった情報を知らないと戦えないので重要視している。
管理は静的管理、動的管理の2本立て。静的管理は一般にはPCを資産としてとらえ、購入から廃棄まで、その間ユーザが変わることもある。動的管理はネットワーク管理者が欲しい情報、設定情報、OS情報、セキュリティ情報、利用ソフトウェア情報など。静的管理はEXCELやNotesDBで管理。動的管理はリアルタイム性が要求されるのでQNDなどを検討している。
善家: 3年前までは管理できていないのが実情。ソフトウェアはまだ個別にやっていないが、ハードウェア・ネットワーク機器は管理ができてきている。周辺機器は価格による、10万円以下は管理していない。大きな流れとして、ネットワークに接続しているか否かによって管理を考えていこうとしている。
山司: 結論的には、一元管理はワンステップ、そのようなレベルにいてはいけない。IT資産管理というのはどんなことをやっているのかを考えながら作ったのがこのチャート。
<資料 ソニーマーケティング>

第1ステップで、ハードウェアの棚卸しは年2回、固定資産の棚卸しと期を同じくして2回やっている。それをベースにして費用の計算などを行う。そのような仕組みなしで、「棚卸しできないから、QNDを導入してネットワークを介して管理する」のはまずい。
第2ステップは機器のITガバナンス。どんな機器をどのように使えばよいかというガイドラインを出すこと。
第3ステップは購入ルール。
PCはネットワークに接続されているので、変なソフトウェアを入れられると、他の人に迷惑かかってしまう。栃木県庁のように個人のスキルが高くなってくると、自分のPCだけではなく、人に迷惑をかけないようなルールを作る必要がある。自由に使うということと矛盾するが。ここにきてローカルで管理していた資産情報をWEBに掲載しようとしている。これにより誰のPCがどういった内容になっているかを、誰もが見れる仕組みにすれば、悪いことはしないだろう。100人いれば1人ぐらい悪い人がいる。それをモグラたたき的に罰するのでなく、「予防策として、情報開示、即ちWeb掲載することによる情報公開」を考えている。
第4ステップの一元管理では、ソフトウェアとハードウェアを一緒に管理することで困った。ツールを検討して、QNDを導入した。
ステップが上がれば上がるほど「資産管理って何のためにやっているの」「それ自体が目的になってはいけない」ということが一番のポイントだと思う。「経営資産としてのIT」といわれるが、都合のよいときは「IT」ともてはやされ、売り上げが厳しくなってくるとPCは3年ではなく5年使えといわれる。いずれにしても「管理のための管理」というステージから、「ITによって企業としてどんなことを実現したいか、個人としてどんなことをやれるのか」というマネジメント領域までを視野にいれなければ意味がない。「経営資源としてのIT」をどのように使えばよいかを、IS部門がトップマネジメントにアピールできるような仕組みを作ることが重要。一元管理をどうするかで停滞するのではなく、管理を「コントロール」ではなく、「マネジメント」にまでもっていきたい。
一元管理をどうするかは、ツールを使えばよい、システム部門でシステムをつくればよい、その結果、「経営資源としてITがうまく使われている」状況を、IS部門が作る必要がある。
宮腰: 今の話にもあったが、何らかのツールがあったほうがよいという意見がある。

●アンケート結果<Q5 資産ツール>

ある目的をもって、ツールを使うべき。必要と感じている企業が60%あるが、n が大きくなると管理できない。ハードウェアだけだとなんとかなるが、ソフトウェアも紐付けて管理するのは大変だ。ソニーマーケティングさんも以前は、DBはAccessで管理しハードウェアは問題ないが、ソフトウェアでは大変だったということでしたよね。QNDを使っている企業が多いようだが、何らかのツールは必要。ツールを導入することが目的でもなければ、管理できることも目的ではない、とは思う。

では、最後にひとことずつ。
柿崎: 静的・動的という2面的な管理をする。結局は、情報を知らないと戦えない。自分の社内にどんなPCがあってどんなソフトがあるかを知らないと次の戦略が立てられない。上からも「PCの投資のサイクルが見えない」といわれる。各部門から個別に申請がくるので、そのあたりの補助ができるような戦略を考えていきたい。
善家: グループとしての評価を会社全体で考えている。グループとしての管理なので今後も数が増加していく。それをいかに効率的に資産管理をしていくのか、かつ今後のPC資産は、WEB化をして管理していき、2年先か3年先にむけて工数を減らしていく予定。
山司: 基本は棚卸しをしっかりする、汗をかくことが重要。PCが年2回ぐらいは、台帳と現物をしっかり管理することを基本ベースにおいて、「管理を目的にするのではなく、IT資産を経営資源として活用できるようにする」という志をもつ。システムの開発は華々しいが、管理部門はその裏ではネットワークにつながらない、PC動かないよと、後方でサポートしているのが管理部門。栃木県庁の事例のように、社内的に評価されるようになればいいのにと思う。
世の中、車も道路がなければ動けない。管理は道路をしっかりつくる、会社それぞれのものの見方にそって半歩前ぐらいのレベルで管理とかインフラを考えるとよいと思う。
少なくとも他がやっているからやるのではなく、やっていないことをチャレンジする。QNDをうまく使っているという話もあまり聞かないのでうまく使う仕組みを作ろうという計画を立てている。
高い志をもてば、現実レベルが低くても、高くなる。QNDを導入し、一元管理をしっかりして、「ITが企業の資産」と名実ともになれるような管理ができたらと思う。
  <質疑応答>
Q1 今回QNDを導入。QNDはネットワークで機器をマネジメントするが、コピー、ファックスなどIT管理したいもの、ネットワーク接続のないPCをどのように管理すればいいのか?PCのTFTディスプレイなどはどうするのか?不足する部分について、どうなるのか?
A1

一部の回答は、第二部のソリューションをお聞きください。

A1:宮腰

魔法のツールはない。現状はQNDでも管理できないものもある。ディスプレイはできない。管理できないものは、台帳に入力してもらえるよう「入力しないと保守しない」など仕組みでカバーする。まずは、どこまでを会社で管理するかを決める必要がある。
PCはネットワーク前提の管理が多いが、会社にあるPCのほとんどは派遣先で社内ネットワークには接続していないというケースもある。意見のもちよりはIT資産・ソフト管理分科会などに参加してもらい、各社の事例をベンチマークしてはどうか。

Q2 リースで導入した際、リースバックするときに本来は原状復帰となっている。SCCIカードを追加した場合など、当社では付けっぱなしで返却 してしまうが、各社はどのような状況か?
A2:善家 これからリース会社と交渉。
A2:宮腰 基本的に原状復帰、ボードは抜く。レンタル会社はまた販売することになるので、付加価値がつくのでは?
 それよりもマウスがない、キーボートが壊れているほうが問題。リース会社に保守があればいいが。
動くようにして戻せ、新品を買ってくれと言われても、3年前なので価値が無い。環境への配慮もあり、捨てることが分かっているマザーボードを買う必要があるのか、調整中。
A2:山司 基本は原状復帰。カードはぬく。チェックされて、プラスになっているものは返却される。ファイナンスリースなので、他に再リースというのはない。リースの場合は使い切ってしまい、返却後は廃棄してもらう。レンタルは物件管理している、中のデータも消去する。IS部門がきちんとやっているかをユーザはみているのでしっかりやりましょう。