第三回 Linux分科会 議事録

第三回(2003/5/15)Linux分科会 議事録
クライアント役: HOYA株式会社 柿崎氏
コンサルタント役: ターボリナックス株式会社  山崎実 氏
講演内容: 「運用コストの削減を目的としたLinuxクライアントシステムのご提案」
前回、WindowsクライアントとLinuxクライアントの具体的なアプリケーション構成、コスト比較を実施したABCDエンジニアリング/情報システム担当の山田さん。幾つかのメリットからLinuxクライアントの導入について関心はあるのですが採用に踏み切れない状況です。
今回、「運用コストの削減を目的」としたLinuxクライアントシステムの提案を受けます。Diskレス、CDブート...Linuxならではの機能を活用したシステムを採用し、その運用状況は。。。
具体的なシステム構成、アプリケーションなどを参加者の皆様へもご提案し、ディスカッションを進めてまいりました。
資料: 参考資料(PDF 51.7KB)Linux導入についての検討報告
参考資料(PDF 42.4B)構成図
以下、当分科会の運営方針により、個人/会社名を特定できる発言の公開は控えさせていただいております。ご了承ください。
参加各社のLinuxへの取り組み等
 
基幹系での利用
  -カーネル2.6(マルチプロセッサ・マルチスレッドを強化)に期待している。
 いつ頃リリースされるか?
 →夏は無理そう。秋頃になるのではないか。
  -サーバ系は使えるようになってきたと思う。サポートも良くなってきた。
  -64bit対応の現状は?
 →発表済み。Intel(itanium),AMD(opteron)に対応している。
  -基幹系MRPののデータマートとして利用している。
 Postgresのデータマートのソースコードを買い取ってカスタマイズ。
サーバとしての利用
  -スケジューラとして利用している。素人が始めるにはやや敷居が高いと感じる。
  -クライアントはMSだが、サーバ系にLinuxを利用している。
 技術サポート用のノウハウを付けていく必要性を感じている。
  -部署のシステムとして利用している
  -Linuxの占める割合は2割程度。
  -ファイル共有サーバとして利用。
その他
  -CADシステムにLinuxを利用している。
  -ワークフローをWebで構築。
 UNIXを考えたが、コストが高いためLinuxに
Linuxのクラスタ機能について
  -Webをクラスタ構成で稼動している。NTのサポートが打ち切られたのでLinuxに変えたい。
  -負荷分散クラスタ(ロードバランス)
  → 専用ハードウェアを採用することが多い。価格も高価(数百万円)
  -フェイルオーバークラスタ
 →アクティブスタンバイ型が多い。
 →プロダクトもLinuxに対応し始めた。ミラーリング型も出てきた。
 →高度な知識が無くても運用可能である。
  -Windowsのフェイルオーバの切り替えは非常に遅い
ディスカッション
仮想企業「ABCエンジニアリング」へのLinux導入についての検討報告に対するディスカッション
(詳細は資料をご覧下さい。資料に対するコメントという形式で記述しております。)
 
★導入コスト圧縮
リプレースの場合、WindowsとLinuxでは大差が無い
  - ある程度の購入ボリュームではデフォルトでWindowsが付いて来る。
  WindowsPCをLinuxに変更するコストの方が高い。
- Officeのコストが一番高い。OSではあまり差がつかない。
全てのLinux化は、現状では非現実的
  →用途や利用環境に合わせ、混在環境にする!
導入コストを下げるのには、MS Officeの購入数を抑えることが効果的
  →star OfficeやOpen Officeを標準とする!
★運用管理コスト削減
作成データはすべてファイルサーバで管理
  →PCサポートの手間を省くため一部をディスクレス化する(CD-ROMブート)
-運用には社内のファイルサーバ利用に関するルール導入が必要。現状は?
 >Win/Netware/Linuxもある。
 > 全てのユーザデータをNetwareに置いている。
-問題は、全てのデスクトップで同じ環境を作ることの方がハードルが高い。
-過去を振り返ると、NC(ThinClient)は流行らなかった。運用コストが膨大だった。
-ユーザデータのファイルサーバ管理は、管理面よりもセキュリティ面のウェイトが高い。
-ファイルサーバ管理はNTでは仕組み上できない。
KDE(ウィンドウマネージャ)
  -TurboLinux6のKDEが重い。
→機能拡張を重ねたフェーズから、メニューの探しやすさなど、洗練するフェーズに移っている。
→Windows環境へ近づけるところがテーマ。
○ここでCD-BootのLinux(KNOPPIX:http://openlab.jp/knoppix/)が紹介されました
KNOPPIXのモバイルへの対応はどうしたらいいか?
  -モバイルPCにはCDドライブが無いものが多い。
-管理コストは下がらないのでは。
CDでは個別情報が取り扱えないのでは?
  -CDをカスタマイズできるので、秘密鍵等のファイルを内包したCDを作ることも可能。
-カスタマイズはかなり大変だった。特にノートPCへのインストールは難しい。
個人の履歴データなどはどう扱うか?
  -どこかにキャッシュしておく必要がある。
-PCMCIAのカード等を併用したらどうか。(Linuxでも動作可)
PC/サーバ管理を台帳化する
  →QNDを導入
ノーツは一部のみ残し、サイボウズへ移行
  -サイボウズAGのドキュメント管理機能を利用。バージョン管理機能も有り、登録は手間だが、入れてしまえばすっきり管理できる。
★互換性
操作の互換性は考慮しない
  -必要な操作のみを行わせる
-教育でカバーする
データについては、100%の互換性は要求しない
  →MS Officeでも同じだったはず
MS-Accessを利用している部門はWindowsを標準とする
  -Accessに該当するアプリケーションはまだない。
- 100%の互換性はありえない。利用する機能で閾値を設けてはどうか。
→自社内なら良いが、顧客等とのデータ交換に支障が出る可能性がある。
★OS/アプリの寿命
OSはTurbo Linuxの標準サポートである3年に合わせる。
  -TurboLinxuのサポートは、3年ではなく3世代。
 過去の周期は1年に1回だったが、今後は周期が短くなるかもしれない。
-サポート切れのカーネルのパッチが出なくなるのが不安。
-対応ハードがなくなってしまう。対応ドライバがない。
-OS/アプリの寿命を設定すれば、投資金額が明確になるというメリットがある。
アプリは3年となる。
★全体構成
クライアントOS
  -Windows : Windows2000
-Linux :Turbo Linux 8 Server
サーバOS
  -Linux : Turbo Linux 8 Server
→ファイル共有はWindowsネットワーク(Samba利用)
→RASについては未決定(決定まではNTを使う)
WAN回線
  -広域LANサービス導入によりコストパフォーマンスをあげる
→サーバの集約化を実現
グループウェア
  -ノーツからサイボウズへ移行
-既存のノーツデータベースはWeb対応設計に置き換える。
イントラ系システム
  -Mozilla系ブラウザで動作するように変更
特定システム
  -基幹系システム :Windows2000用エミュレータを購入
-CAD/CAM : Unix版からLinux版に置き換える。
RAS
  -後日検討
サイボウズ社グループウェア
  AG:中小規模向けのWebベースグループウェア。上限300名。
ガルーン:大規模向Webベースのグループウェア。サーバの分散/集中管理が可能。
簡単なので、情シスのプロでなくても使いこなせる。
-ノーツのようにレプリケーション可能か?
→まだ検討中。
Linuxの管理コストは?
  -管理者の教育
 Linuxの認定講座など、メニューも充実してきている。
-人月単価も変わらない。
-Linxuの技術者は、Linuxが分かるのはもちろんのこと、Windowsにも同様に精通していなければならない。
(Windowsをベースに、その比較という形で語られることが多いため)
クライアントOSとしてLinuxを導入可能か?
  -工場などのOfficeを使わないところであれば可能だろう。
-スキルの低いユーザは、ブラウザがパソコンだと思っている。
 前に1枚かぶさっていればOSを意識しないのではないか。
-UnixからLinuxというケースはあると思われる。
-もっと初心者にも使いやすくユーザインタフェースをカスタマイズ可能にして欲しい。
Windowsとの共存
  -どうしてもWindowsが必要な場合は、VMwareを利用してはどうか。
→LinuxでVMwareを利用するメリットは?
→ 開発者や学生には非常に喜ばれている。
 しかし、OSのインストールが必要なので、ライセンス的には変わらない。
→Linux上でWindows、Windows上でLinux、どちらをベースにしたらよいか?
 ケースとしてはWindowsベースが多いだろう。
→VMwareにはサーバ版(GSX)もある。クラスタリングとして利用可能。
まとめ
  inuxの企業内への導入については、様々な工夫次第でほぼWindowsと同等の運用・管理が可能であることが見えてきたかと思います。
しかし、Linuxの低コスト・安定性という特徴が生かされ、十分にメリットが出る領域は、現状ではサーバおよび開発系等の特定用途であるようです。
クライアントに関しては、Windowsの普及度を考えると、Linux色を抑えて、OSのユーザインタフェースとOfficeの互換性を限りなく100%に近づけていく必要がありそうです。